検索窓
今日:11 hit、昨日:12 hit、合計:68,067 hit

ページ21

あの後どんどん料理が運ばれてきて、あっという間にテーブルの上はお皿で埋め尽くされた。

あれも美味しい、これも美味しい、と智実さんが勧めてくれるものは本当にどれも美味しかった。

「まさにこれこそ家庭料理に近しい気がします」

「だよな」

そう言って少し酔った様子の智実さんはヘラッと笑った。

「家でも一つの大皿を囲んで皆で分け合って食べる。そんな食事をしたことはありませんでした。でも、こうやって食べたいものを食べたい量だけ自分で取り分けて、最後の一口を譲り合ったり、取り合ったり、そんな光景が家庭らしい気がします」

「ふふっ、うちも大皿を導入する?」

「そうですね!」

智実さんの家庭料理を食べたいという願いにまた一つ近づいた気がする。大皿で食べる料理を少し調べてみようかな。

私たちは、私はきっと知らないことが多い。自分が思っている以上に箱に入れて大切に育ててもらっていたのかもしれない。

なら箱の外の世界を学ぶしかない。社会の常識を知ることも教養の一つだ。

私はそう意気込んで、ジンジャーエールを注文した。



「美詞〜、もぅ、かえろ〜」

美味しい料理のおかげか、お酒の進んだ智実さんは随分酔いがまわってしまったようで、少し舌足らずだ。

きっと家までの道も歩けないだろうし、タクシーを呼んでおこう。

「智実さん、タクシーを呼んだのでそろそろお店を出ましょう」

「んぅ、うん・・・」

もう寝てしまいそうな智実さんに困り果てていると七森さんが音もなく現れた。

「智実くん、けっこう飲んだみたいだね〜。俺が運んであげるから、お会計行っておいで」

「あ、ありがとうございます」

私は七森さんにお礼を言ってお会計に向かった。伝票を渡してお支払いを済ませると、智実さんが七森さんの肩を借りながら歩いてきた。

「タクシー呼んだ?」

「はい」

「じゃ、店の外出ようか」

・→←・



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.7/10 (22 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
73人がお気に入り
設定タグ:すとぷり , さとみ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:まるたちばな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/marutatiba1/  
作成日時:2020年12月25日 20時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。