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これはあの結婚式から約1年前のお話。





「それじゃあ、いってきますね」

「本当に送らなくて大丈夫?」

「大丈夫です。電車通学は慣れてますから」

「せめて駅まで、」

「本当に大丈夫ですよ。智実さんも会社に遅刻しちゃいますから」

「・・・・・・いってらっしゃい」

私が彼と、智実さんと正式に婚約をしてから約1年半とちょっとが経ち、私も無事に高校三年生になった。

実は1月頃から私たちは同棲をスタートさせたのだが、智実さんは相変わらず不安症なままだった。

他の人の前ではとてもしっかりしているように見えるが、私にはヒシヒシと彼の不安が伝わってくる。瑠生や他の男の人と話すのを見ると妬いてしまうと言っていた記憶がある。

え、莉犬くんはどうなったの?って?
実はあの後も友達を続けている。否、続けさせてもらっている。月に一回程度なら会ってもいいと言ってくれたので、遊びに出かけたり、この間は智実さんがいたので家に招いてみたり。その方がむしろ安心した様子だった。

婚約の内容も固まって、両家の仲も良好。私の家族仲も前よりも柔らかくなった気がする。

大学には行かないと決めたので、今ではのんびり花嫁修行なるものをしている。と言っても百瀬家はそんなに礼儀やしきたりなどを気にしたりはしないらしいのだが、やはりパーティーや式典に招かれることもあるので、マナーやある程度の教養を身に付けておかないと智実さんに恥をかかせてしまうこともある。

その点においては私の家の方が厳しいので、むしろ厳しくしてもらっていて良かった。

そんなこんなで私は結婚への準備を着実に進めているのです。

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作者名:まるたちばな | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/novel/marutatiba1/  
作成日時:2020年12月25日 20時

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