。 ページ32
結局、いちごホイップを選んだポピーちゃんは、ほっぺにクリームをたっぷりくっつけながらクレープを頬張っている。
「今更だけど、君アレルギーとかないよね？」
「ポピー、クレープだいすきなので！」
迂闊にも勝手に食べ物を与えてしまった。
何かあっても責任取れないぞ…慌てて確認するがすでに遅い。……まあ、問題なさそうだし…大丈夫だと願うしかないか。
「おねーちゃんは、どんなポケモンそだてるんですの？」
唐突にそんなことを聞いて来た。
やはり四天王なだけあって、興味はそこなのか。
「私はポケモン持ってないよ。」
「え？もってないんですのー！？」
ポピーのおともだちと戦ってほしかったのに残念です…と、落ち込むポピーちゃん。やっぱりみんなポケモンバトルが好きなんだなあ…と、朧げに考えているとポピーちゃんが立ち上がる。
「なら、とくべつに いま みせてあげますの！」
「えっ……」
ポピーちゃんのポケットから飛び出してくるモンスターボール。そこから出てくるのが、小さな子どもらしくパピモッチ辺りだったら、まだ良かったかもしれない。
「おいでなさーいな！ポピーのおともだち…！」
よりによって、私が最も嫌いなポケモン。
「カッチカチの…アーマーガアちゃん！」
「……っ、！」
濃い藍色の大きな体、真っ黒な目の奥の赤い瞳。
その視線と目が合えば、背筋が凍る。
ガラルの空の王者。
「あっ、見つけた！」
「チリちゃん！」
アーマーガアの大きな姿が目に止まったのか、チリさんの声が背後から聞こえてくる。
「…………」
私は、アーマーガアから目を逸せないでいた。
嫌な汗が、全身をびっしょりと濡らす。
大丈夫、ポピーちゃんが世話をしているポケモンだ。
そう自分に言い聞かせるが、アーマーガのその姿は私のトラウマを呼び起こさせるのに十分すぎる。
「あれ…Aやん！」
チリさんが私の肩を叩く。
「…ちょ、どしたん自分…」
気持ちが悪い……これはさっき食べた甘ったるいクレープのせいだろうか。チリさんに身体を揺さぶられ、強張っていた体の力が抜ける。そして私は…そのまま意識も手放した。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 330人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
わさびの木 - ポケモンあるある〜 「あっ！(推しポケ)発見！とりゃー(ボールを投げて不意を突く)【野生のゾロア(またはメタモン)の不意を突いた】「っえぇえっ」 これからも頑張ってください (2023年1月6日 17時) (
レス) id: 99eb40f4e9 (このIDを非表示/違反報告)
m - 初コメント失礼します！とても共感できる内容と、文構成も本当に綺麗で楽しく読めました！これから夢主ちゃんが誰とどうなり、どう成長していくのか考えると、とてもワクワクします！これからのご活動も心より応援しております！ (2023年1月1日 18時) (レス) @page43 id: 64c6fd4413 (このIDを非表示/違反報告)
錫也(プロフ) - ポケモン苦手なのかぁ……ポケモンが生活の一部にいる世界じゃあ家から出なくてもおかしくないのに、負けてるみたいで嫌だって…ちゃんと通うのいい子…。ゾロアみたいに変化できるポケモンはどうなのかな…驚かすから苦手かな…とても面白くてすきです！ (2022年12月18日 1時) (レス) @page43 id: a633f09b63 (このIDを非表示/違反報告)
まるむ(プロフ) - 無彩色さん» 無彩色さまコメントありがとうございます。パープルアカデミーは存在しません！！グレープアカデミーの誤りです。ポピーちゃんとの絡みの部分ですかね？修正しておきます。ご指摘ありがとうございました…ぜひ今後もこちらの作品を楽しんで頂けたら嬉しいです！ (2022年12月11日 1時) (レス) id: dec29055bf (このIDを非表示/違反報告)
無彩色(プロフ) - 初めまして、作品見ました物凄くおもしろい作品です、これからも拝見します、、、! 少し質問なのですが、、、パープルアカデミーはグレープアカデミーとはまた別なのですか？唐突な質問すみません、、、 (2022年12月11日 1時) (レス) @page35 id: 61e8c1b783 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まるむ | 作成日時：2022年12月1日 22時
