急なお呼び出しの段 ページ2
それはある日の昼下がり。春の快適な暖かさの中、授業を終えて読書に耽っていた私は部屋の外からの呼び掛けに顔を上げた。
「A、ちょっと来なさい」
『分かりました!』
担任の山本シナ先生はとても美人で、二つの顔を持つ変装の達人で、何でもできるすごい人だ。でも怒るとすごく怖い。
そして要件も言わずに呼び出したことを考えると、少なからず今怒っている。私、何かしたかなぁ。シナ先生について行きながら考えるが、あまり心当たりがない。これは気づかずにやらかしたパターンだ。
『失礼します…………』
シナ先生の部屋に入る。先生は片付いた部屋の中で、真ん中の机の前に座り、すでにこちらを向いている。目で座るように促され、何となく嫌な予感を感じつつも従う。
「あなたの成績のことで話があるの」
単刀直入にシナ先生は言う。あくまで穏やかな口調だ。差し出されたのはこの前のテストの結果一覧。あれ、思ってたのと違う。テストはいつも頑張ってるし、成績は安定している。今回もそれなりに取れたと思ってたのに。
しかし、一番下の科目そして点数を見た瞬間、血の気がさっと引くのを感じた。まずい、ここでやらかした。恐る恐る顔を上げる。
『せんせ、これ…………』
意思に反して体が震えだす。先生はにっこりと笑った。しかしその目は笑っていない。
「ねえ、A。四年生になっても悪い点数を取ったらただじゃ済まないって言ったわよね。進級だって、どれだけ学園長にお願いしたことか。それなのに…………」
『反省してます。次は絶対にいい点数を取りますから、どうか…………』
我ながら情けない。しかしここで落第忍者になる訳には行かないのだ。頭を下げると、シナ先生はため息をついた。
「私にはもうどうにもできないわ。学園長に相談し、あなたの処置を決めました」
見限られた。人生終わりました。ここを追い出されたら両親に何と言おう。忍者の家系なのに忍者になれないとか、絶対に縁を切られてしまう。
「AAさん」
シナ先生は私の肩をひしと掴んだ。美しい顔と正面から向き合い、私は言葉すら出せない。
「明日から忍たま達と一緒に授業を受けなさい! テストに合格するまで、あなたは忍たまです!」
殴られたような衝撃。呆然と目を見開く。
『…………えぇー!!』
私は驚きのあまり叫んだ。力の抜けた指の隙間から成績表が滑り落ちる。
薬学九六点 変装八五点 舞踊八八点…………色、〇点
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砂糖水 - (_;´꒳`;):_同じくぅぅぅぅ (2023年3月21日 21時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 天女じゃない所は良き、ですがオリキャラとモブは無理だったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(((泣 (2023年3月4日 17時) (レス) @page12 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 初心者Mさん» 自分では仲のいい忍術学園しか想像出来ず、こうなりました笑 鼻血が出てますよ□ヾ(・∀・`o)フキフキ読んでくださってありがとうございます! (2021年3月17日 21時) (レス) id: bb04bdd80d (このIDを非表示/違反報告)
初心者M - 天女ものではない所が、好きです。(鼻血) (2021年3月17日 21時) (レス) id: 8867205e66 (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - にゃんこさん» にゃんこさん、ありがとうごさいます!誰にも読んでもらえないと思っていたので凄く嬉しいです! (2021年3月17日 14時) (レス) id: bb04bdd80d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむー | 作成日時:2021年3月16日 12時