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そんなことを思いながらふと先輩達の視線を自然と顔に感じ、思わず壊れたお面でガードした。
『すみません、あんまり見られると恥ずかしいです…………』
今すごい顔だから。これ以上女としての面目を失いたくない。
「え、ああ、ごめん。噂と全然違って」
噂、という久々知先輩の言葉にピクリと反応する。この前から気になっていたけれど、噂とはなんぞ?
「兵助、本人の前で言うことじゃないだろ」
『いえ、聞かせてください!』
竹谷先輩が止めに入るけれどここまで来てそれはないだろう。お面フィルターがないにもかかわらず久々知先輩を直視した自分を褒めてあげたい。先輩は気圧されたように笑う。
「Aが忍たまに来た次の日からはいろんな噂が流れていた。顔には傷があるんじゃないのか、とか」
『何で訂正して下さらないんですか』
竹谷先輩の方をキッとみると目を逸らされた。あなたは知っているはずですよね? 出来るだけ注目を浴びずに生きるのが望みなのにこれじゃあ台無しだ。
「俺がAの顔について言ったって意味ないだろう」
いえ、意味大ありです。それにしても、美形揃いの皆が拍子抜けするくらい普通の顔なのだ。むしろ傷ぐらいのインパクトがあった方が良かったかも。
あぁ、お面じゃなくてドクタケみたいなサングラスにすれば良かったのかな。そうすれば誤解を産まずにフィルター機能だけ使えたのに。
「A、そんなに落ち込む必要はないさ。Aは可愛いよ」
久々知先輩の必死のフォローが空疎に響く。私は疲れた笑いを浮かべる。
『先輩みたいな別嬪さんになりたかったです。長いまつ毛が羨ましい。竹谷先輩みたいに男前だったら、私ももっと堂々と出来たのかな…………』
「あちゃちゃ」
「おほ…………」
私のネガティブモードに先輩方もお手上げらしい。何やってんだ一九歳。ため息をつくと、私は立ち上がった。
『顔洗って来ます。久々知先輩、手拭いは洗って返しますね。助けて下さってありがとうございました』
返事も待たずにその場を後にする。歩いてみると案外くノ一教室は近くて、先程の苦労が悔やまれる。走り過ぎて、足が凄く痛かった。頭巾を取るとボサボサになった髪が落ちてくる。汗もかいて気持ち悪かった。
忍び装束を脱いで頭から水を被ると、少しは意識がはっきりした。落ちて来た前髪から水が滴る。目の淵に冷たい雫が当たると、少しヒリヒリと痛んだ。
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砂糖水 - (_;´꒳`;):_同じくぅぅぅぅ (2023年3月21日 21時) (レス) id: 1d36f8c737 (このIDを非表示/違反報告)
黒糖さまでーす - 天女じゃない所は良き、ですがオリキャラとモブは無理だったぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ(((泣 (2023年3月4日 17時) (レス) @page12 id: b07dd8e215 (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - 初心者Mさん» 自分では仲のいい忍術学園しか想像出来ず、こうなりました笑 鼻血が出てますよ□ヾ(・∀・`o)フキフキ読んでくださってありがとうございます! (2021年3月17日 21時) (レス) id: bb04bdd80d (このIDを非表示/違反報告)
初心者M - 天女ものではない所が、好きです。(鼻血) (2021年3月17日 21時) (レス) id: 8867205e66 (このIDを非表示/違反報告)
まみむー(プロフ) - にゃんこさん» にゃんこさん、ありがとうごさいます!誰にも読んでもらえないと思っていたので凄く嬉しいです! (2021年3月17日 14時) (レス) id: bb04bdd80d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:まみむー | 作成日時:2021年3月16日 12時