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第49話 エルヴィン視点 ページ1

リヴァイが出ていった後、エルヴィンはため息をつきながら執務室の来客用ソファに腰かける。

ーお前がどんなに一途にしても、Aはよその男と寝るぞー

あんな言葉、口にするべきじゃなかった。

彼女がああして過ごしていたのは、自分だけだった事を知っていたのに。
あれではまるで、自分が彼女の事を「そういう相手」としか見ていなかったみたいだ。
なのに、リヴァイに少しでもAの事を嫌ってほしくて口をついた。

だがリヴァイの方が1枚上手だったようだ。
まんまと言い返されてしまった。

(しかしあのAがなぜ今更リヴァイと…?リヴァイに心変わりしたようには見えないが…いや。彼女はポーカーフェイスが上手いしな)


実はあの貴族のお嬢様とは、調査兵団団長就任前から縁談の話が持ち上がっていた。
それでも何も進むことなく時間が過ぎていたのだが、団長になってからというもの、相手方からグイグイ来られている。
その話をなんとか煙に巻きたくて、彼女を含めその父親と会っていたのだ。

しかしなかなか手ごわい相手で、結果的に頻繁に彼女と会うことになったが、そのお陰か2人で夜を共にすることはめっきりなくなっていた。

それでもこの中途半端な状況が良くなかったのも事実。

エルヴィンは顎に手をあててしばらく考え込んだが、思い立ってソファから立つと机の引き出しを開ける。
そこから紙とペンを取り出す。
思っていたよりも凄く簡単に、スムーズに書けたそれは、辞表だった。
それをAがプレゼントしてくれた封蝋で閉じる。


(もういい。彼女との縁談はきっぱり断ろう。それで何かあれば、これを使うしかない)


エルヴィンは数分で書き上げた辞表をジャケットの内ポケットに入れる。


縁談を断った程度で、候補者もいない就任して日の浅い調査兵団団長を辞任させられる事などないだろうが、相手が聞き入れてくれなかった際にこれを出すことでその決意を表明することくらいはできる。
しかしどのみち上層部からの風当たりは強くなるだろう。

こんな事で辞表まで書いたと聞いたら、Aは「馬鹿じゃないの?」と小言を言うだろうが。

こんなもの何枚でも出してやる。

エルヴィンはそう心に決めた。

第50話 エルヴィン視点→



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作品ジャンル:恋愛
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作者名:ララ | 作成日時:2021年5月7日 20時

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