235 ページ35
.
「武道くん、取り合えずこれで冷やそっか」
「あっ、はい！」
「おいおい、ブサイクに磨きが掛かったじゃねェか」
稀咲の隣に腰かけた花垣の腫れあがった瞼にAがおしぼりをそっと当てる。
半間が馬鹿にしたように笑えば、釣られて花垣も力なく笑い返した。
Aからおしぼりを受け取った花垣を横目で見ながら稀咲は口を開く。
「…決行の場所は、渋谷にある宇田川キリスト教会。都合のいいことに、大寿は人のいない深夜に礼拝に行く」
「クリスマスの夜って普通人でいっぱいじゃねーの？」
「それは今夜。イブの夜だ。明日の今頃には捌けている」
「へぇ〜、稀咲くん物知りだね。流石」
「…ありがとうございます」
「稀咲照れてるじゃん、オモシロ」
少し赤くなった稀咲のことを半間が指摘すると、稀咲は鋭く半間を睨みつけ、わざとらしく眼鏡を掛けなおす。
「黙れ。…んで、八戒が大寿を襲うなら、絶対その時しかねぇ。俺と半間、Aさん、松野が礼拝堂の近くで大寿を待ち構える。八戒が先に礼拝堂の中にいる筈…。タケミっちが説得しろ」
「っえ、Aさんも大寿の方に…？」
「うん、大丈夫！Aも、大寿くんと色々話したいこともあるし…。それに、八戒くんを止めるには一番仲のいい武道くんが適任だと思うし…ねっ？」
「そして、八戒と大寿が鉢合う前に、俺たちで…大寿を叩く！」
稀咲は徐に立ち上がると、花垣の瞳をしっかりと射貫いてそう発言した。あまりにも真っすぐな視線に、花垣は思わず息を呑む。
…
店を後にした三人は横並びで雪の降る街を歩く。
「まあこれで、明日の対黒龍隠密作戦はほぼ決まった。…念のためっスけど、Aさん、マイキーくんとかになんも言ってないですよね？」
「言ってないよ！東卍メンバー全員に明日の予定聞かれたけど、クリスマスは予定がある、で通したから安心して」
「そ、それ通せたんですか…！？絶対マイキーくんとかうるさそうなのに…」
「めーっちゃうるさかったけど、しつこいの嫌い、って言ったらもう聞かれなくなったから大丈夫！」
「やっぱ凄いですね、Aちゃんって…」
「そぉ？まぁとにかく…武道くん」
Aが花垣の片手を手に取ると、わかりやすく松野が眉を顰めた。そんな松野の片手もAが続いて手に取り、三人手を重ねる。
「今日何があったのかは詮索しないけど、明日、ぜーんぶぶつけようね！千冬くんも、一緒に頑張ろうね！」
「ウス！！」
「ハイ！」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 4803人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
飛鳥 - 続き楽しみに待ってます！ (3月14日 7時) (
レス) @page36 id: 2cfd6d6f99 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - めっちゃ好きです！！！続き待ってます！気が向いたら更新してください！応援してます！ (12月29日 17時) (レス) @page36 id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
シア(プロフ) - 続き楽しみにしてます！！ (10月28日 20時) (レス) @page35 id: 38b8a932a2 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのみき - 東リベの夢小説史上面白い小説でした！更新頑張ってください！ (10月13日 22時) (レス) @page34 id: d976c5d16a (このIDを非表示/違反報告)
名無し68593号(プロフ) - 更新ありがとうございます‼️最高です (10月6日 23時) (レス) id: 38145731e9 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：まる | 作成日時：2021年10月16日 21時
