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「争うつもりはねェよ」

沈黙を破ったのは稀咲だった。九井はその様子を見て、少し考えた後に口を開く。

「十万だ。十万でテメェらの知りてェ情報を教えてやる」
「…大寿が一人になる時を知りてェ」

稀咲はお札の入った封筒を九井に手渡せば、九井は仲間の枚数を確認した後に話始める。

「ボスが一人になることは、無い。常に兵隊を五人は連れてる。…たった一日を除いて、な」
「それはいつだ?」
「十二月二十五日…クリスマスだ。ボスはああ見えて結構なクリスチャンでね。毎年、夜は教会に礼拝に行く。深夜、必ず、一人でね」
「…なるほど」
「他に聞きたいことは?」
「それだけで十分だ」
「待って、A聞きたいことある」

稀咲と九井の会話にAが加わった。まさかの依頼者に九井は目を丸くした。

「…何だ?」
「大寿くんと二人きりで話し合いの場を設けて欲しい、って言ったら幾ら必要?」
「ッAさん!!」
「…却下だ。受けられねェな」
「幾ら、って聞いてるの。ココくん。絶対に必要金額耳を揃えて用意するから、お願い」

するりと半間の腕から抜け出したAは九井の前に立ち、九井の瞳を見つめた。
全員が二人の動向を窺っていると、九井はため息を吐いて踵を返す。

「ダメだ。Aをボスに会わせられねェのはオレの勝手な都合だからな。幾ら積まれても無理」
「…どうして?」
「オレは黒龍だとか東卍だとか以前に、Aのことが心配だから。ボスは兄弟や女子供関係なくぶん殴れる。見たことあんだろ?俺はAだけは、巻き込みたくない。この間イヌピーと話しに行ったときも頼んだ筈だ、この件から手を引け、ってな」
「ヤだ」
「…なら、俺も無理だ。…テメェら、気をつけろよ。例え一人だとしてもボスは強ぇぞ。四人で勝てんのか?」
「五人だよ。ココくん。Aも入れて」
「…なっなんで大寿くんを裏切るんすか?」

重たい空気の中、花垣が勇気を出して九井に話しかける。九井はふっとAから目線を逸らして答えた。

「…オレは、強い奴の味方だ。もっと知りたきゃ、あと十万用意しな」

それだけ答えると、九井は部屋を出て行った。
そして残ったのは唯、重たい雰囲気のみ。

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飛鳥 - 続き楽しみに待ってます! (3月14日 7時) (レス) @page36 id: 2cfd6d6f99 (このIDを非表示/違反報告)
S(プロフ) - めっちゃ好きです!!!続き待ってます!気が向いたら更新してください!応援してます! (12月29日 17時) (レス) @page36 id: cc16e6db3c (このIDを非表示/違反報告)
シア(プロフ) - 続き楽しみにしてます!! (10月28日 20時) (レス) @page35 id: 38b8a932a2 (このIDを非表示/違反報告)
名無しのみき - 東リベの夢小説史上面白い小説でした!更新頑張ってください! (10月13日 22時) (レス) @page34 id: d976c5d16a (このIDを非表示/違反報告)
名無し68593号(プロフ) - 更新ありがとうございます‼️最高です (10月6日 23時) (レス) id: 38145731e9 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:まる | 作成日時:2021年10月16日 21時

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