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自室で一人でいた時、ある召使いの男が入ってきた。その男は、いきなり私を押さえつけ、のしかかってきた。



破かれた淡い水色の服が白を基調としたベッドに彩を与える。



肌にゴツゴツした召使いの手が触れ、気持ちの悪い温もりがじんわりと広がった。助けを求め叫ぼうとすると首を絞められそうになった。



ふと、そばのテーブルに載っていた西方バサミが目に映った。掴んで、力一杯刺した。何度も何度も。









気がつけば、その男はぐったりしていた。
赤く染まって、死んでいた。


その召使いの顔はぼやけてよく見えなかった。
目の前が白で覆われ意識が遠のいていく。



何故だろう。顔の見えない召使いが誰かと重なって見えたような気がした。








私が引き起こした殺人事件は、
父が巧みにもみ消した。



「お前は、ガラスの人形だ。だから何も気にすることはない」それが父親の口癖。



その事件以来、普通の子供のように学校へは通わず、家庭教師を雇って勉学に励んでいた。



まるで脆いガラスの人形を扱うように
私は大切に大切に愛されてきた。









ある日。



いつも通り、朝を迎え
いつも通り、着替えをし
いつも通り、朝食をとる。





いつもと違うのは



「・・・え」



私が殺したはずの召使いの男が、
朝食を準備していたこと。









父に聞いてみると、私の起こした事件のことは何も知らなかった。「悪い夢を見ていた」のだと笑いながら言う。




幼い頃から夢想と現実がごちゃ混ぜになることはよくあった。だが、人殺しは初めてだ。



これは、夢想か現実か。
私は人を殺したのか、殺してないのか。



この時から私は、夢想と現実との区別が付かなくなっていた。

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なっち(プロフ) - まるさん» 最後まで読んでくださり、ありがとうございます´`*そう言っていただけて嬉しいです。これからもよろしくお願いします! (2021年3月7日 23時) (レス) id: 8e3efa0f37 (このIDを非表示/違反報告)
まる - 完結おめでとうございます!なっちさんの世界観にハマってしまいました(^^)これからも頑張ってください! (2021年3月7日 17時) (レス) id: f186c42411 (このIDを非表示/違反報告)
なっち(プロフ) - エムムさん» お返事遅くなってしまい、申し訳ございません(><)ゆっくりですが、コツコツと更新していきます!コメントありがとうございます´`* (2018年2月7日 19時) (レス) id: ca6adbf52b (このIDを非表示/違反報告)
エムム(プロフ) - 更新楽しみにしてます^^ (2017年11月29日 5時) (レス) id: d0682dc8ac (このIDを非表示/違反報告)
なっち(プロフ) - o0_chuさん» ありがとうございます!どんでん返しのある作品にしたいと考えておりますので、是非最後までお付き合いいただけたら嬉しいです( *˙˙*) (2017年3月22日 14時) (レス) id: b1a9362e1c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:なっち | 作成日時:2017年3月10日 15時

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