夜想曲第2番変ホ長調（赤）2章

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美味しそうな匂いが鼻孔をくすぐり



自然と目が覚める。







「え？」







何故かお粥がコンロの上にある。



おまけに、私は額に冷えピタを貼っているし…



何なんだ。



もしかして、両親が帰ってきたのかな？








ベッドから上半身を起こして



不意に目の前のテーブルを見たら



小さな置き手紙があった。








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お粥、作っておきました。
起きたら食べて下さい。
冷えピタも買っておいたので使って下さい。
あと、家の鍵開いてたで。
女子なんやから鍵くらい閉めること。
早く風邪を治して
月曜から元気に学校へ登校しましょう。

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字を見てすぐに分かった。



この字は、渋谷先生。








以前、音楽室に行った時に



楽譜に書き込みがしてあった。



特徴的な字だったため



確かに記憶に残っている。







「…なんで」







あれは夢ではなかったんだ。



じゃあ、あの時渋谷先生は



どうして切ない声で私の名前を呼び



どうして額にキスをしたんだろう。








温かい雫が手に触れて



涙が零れ落ちたのだと気付く。








…会いたい。



“好き”が溢れ出すのを



どうにも止める事ができない。








私にとって渋谷先生は



いつの間にか、



こんなにも大切な存在になっていたんだ。

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