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「Aちゃん、大先生のクラスってここ？」
「はい。そうですね」
教室の前で軽い話をする。
隣は私のクラスだし間違いない。
「声かけてみよっか〜」
ヒョコッと顔を覗かせたオスマンさんに続き教室を見てみる。
「あっ、おった〜だい……」
「待って……ください」
「ん？どうしたん？」
「やっぱいいです、実行委員の仕事残ってるの忘れてたから……失礼しますね」
「待って！Aちゃん！」
遠くから聞こえる声も聞かないでどこかを目指して無我夢中で走り続けた。
気付いたら屋上に来ていた。この前、鍵を貸してもらって返すのを忘れたままだったから今は誰もここに来ない。
約束したのに。鬱くんは教室でお店の仕事をしていた。確認した、私と自由時間は同じだった、一緒に回りたいからって言ったのに。
「なんで……」
呟いた言葉は私の心と正反対の青空に吸い込まれていった。
下を覗いてみればみんな誰かと一緒にいて笑い合っている。
笑ってないで、一人なのは私だけ。
この世界に取り残された気がした。
真っ白でふわふわしてそうな雲に手を伸ばしてみた。
届くなんてことは無く私の手は空を切った。
そんなこと知ってたのに。
何故だか悲しくなった。
「Aっ！」
だから、聞こえてきた声は暖かく感じた。
「シャオちゃん……」
「やっぱりここにいたね」
ふわりと笑って私の隣に来た。
「ねぇ、何かあったの？」
少しだけ探りを入れるように聞いてきた。
「何があったのかな……」
私にだって分からない。
なんでこんなたった一つの約束を破られただけで辛いのか、悲しいのか。
「まぁ、無理に聞きはしないよ」
そうやって呟いた空を見上げた。
私も見上げればさっきまでの青空が嘘のように空は黒い雲で覆われ始めた。
「これ、雨降るじゃん……避難しよ」
頷いた私を引っ張って校舎へと入る。
パタン、と扉が閉まった。
「あ！シャオロン先輩！A先輩！」
ふわっとキラキラ輝く金色の髪が揺れる。
頬に伝っていた涙を少し乱暴に拭う。
「どうしたの、蓮くん」
彼は鈴の弟で実行委員のため私とも、グルッペンさんを通じて生徒会メンバーとも交流がある子だ。
「会長とA先輩が計画した出し物が、出来ないみたいで……」
「どういうこと？」
「詳しくは分からないんですけどパソコンが使えないみたいで……」
「……報告ありがと。こっちでなんとかするから蓮くんは文化祭楽しんできて」
驚きながらも頷き、走っていった。
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作者名：凪沙 | 作成日時：2018年7月24日 13時
