人違い(黄) ページ8
「ねぇ、A。丸ちゃんに会いたくない?」
同期で一番仲の良いサヤに唐突に言われたのが昨日の就業後。
「そりゃ会いたいよ!一生に1度でいいから直接会ってみたいよ!」
エイターでもないサヤが丸ちゃんの話を振ってくるなんてことほとんど無かったから違和感を覚えつつも、いつも心に思ってる本音が思わず出ちゃう。
東京に住んでたって芸能人に会うことなんてほとんどないし。
でもどこかでバッタリ会ったら…なんて儚い希望は常に持ち続けてる。
「じゃあ、明日会わせてあげるね。」
にっこり微笑むサヤが言った言葉を簡単には咀嚼できなくて暫し呆然とする。
何をどう考えてもサヤと丸ちゃんが結び付かないし、かといってそんな冗談言うタイプでもないし。
実はヤスくんとサヤは付き合ってて、丸ちゃんが今フリーだから私に紹介してあげようって話になったっていう夢にも思わなかった展開にその日はずっと頭がフワフワしてて。
いや、夢でもいいからどうか覚めないで。
この世で1番好きな人に明日会えるんでしょ?
2、3日眠り続けて夢を見ても構わないから!
クローゼットから全部の服を取り出して一番お気に入りのコーデを見つけて、バッグから靴まで完璧に合わせる。
睡眠不足な顔で会うわけにはいかないから、今が夢の中かもしれないけどベッドに入って眠りについた。
441人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「オリジナル」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:葵 | 作成日時:2018年1月21日 17時