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「お母さん、引っ越しのご挨拶なんてこんな都会でもするものなのかな?」

「A、都会だろうが田舎だろうが関係ないの!そういう事はきちんとしないといけません。」

「そうだけど…。」

引っ越しのご挨拶の品を持って張り切る母と憂鬱な私。

そりゃ、私だって出来るだけご近所付き合いは円滑にしたいけど、ここっていわゆるタワーマンションで。

しかもコンシェルジュもいるような所だし、ご近所付き合いなんて言葉は一番遠いような気がする。

挨拶とかも迷惑がられるんじゃないかな?って。

そんな私の心中はお構いなしで玄関へ向かう母はもはや止められそうもない。

「このフロアはあんたの所ともう一軒だけでしょ?」
「どんな人が住んでるか知っておかないと心配じゃない!」

そう言って玄関のドアを開ける母の向こうに見える人影。

まさか、と思ったけどちょうどお隣さんが帰ってくる所だったみたいで母がすかさず声をかける。

「あの!すいません!」
「お隣に越してきた村上と申します。」

ハットを目深に被った長身の男性がこちらを見て明らかに戸惑いながらも返事をしてくれる。

「ムラ…カミさん…ですか?」

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作者名: | 作成日時:2017年4月2日 15時

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