第六訓 ページ8
高杉サイド
俺は今、目の前の光景に呆然としていた
幼くか弱く人見知りで、俺の後ろについてくるだけだった愛らしく愛おしい俺の妹
だが……今の姿はそんな面影はどこにもない
この間、何度も挑んでようやく一度勝てた男に……素早い動きと力強い突きで翻弄し、圧勝してしまった
勝負が終わって座り込んでいる銀時に手を伸ばすAの姿を見て、俺の中にはなんとも言えない喪失感が渦巻いていた
そんなことも知らずに、Aは嬉しそうな顔で俺に駆け寄ってきて抱きついてきたので、俺はその頭を撫でる
『兄様!A強くなったでしょ!?』
高「ぁあ…」
『……どうしたの?兄様』
高「いや、俺も負けてらんねェなァと思っただけだ。
お前に負けねェように、俺も強くなんねェとな」
『Σぅなっ!』
高「あ?どうした?」
『……兄様は強くなっちゃダメッ!!』
高「Σはァ!?」
俺がAの言葉に疑問と少しの怒りを感じていると、それを察したのかAは慌てだした
『ちっ、違っ…違うの!』
高「何が違うんだ?」
『……せっかく、何か一つでも兄様に追いつこうと強くなったのに…兄様が強くなったらまた離れちゃう…から…
せっかく、兄様やみんなを護れるくらい強くなったのに…』
うつむきながら細々とした声で発したその言葉はしっかりと俺に届いて、そんな姿のAを抱きしめた
高「お前は十分強くなった。だが、俺は全然弱ェんだ。
だから、俺にもお前の隣を歩かせてくれ
俺にもお前を…護らせてくれ」
『兄様…うんッ!!』
Aは俺を見上げて満面の笑みを向けてくれた。この笑顔を護れるくらいに俺は…強くならなきゃなんねェ
そう誓っていると、急に肩に重みがかかったので後ろを振り向くと、うっとおしい銀髪が視界を埋めた
高「おい、邪魔だ天然パーマ。退け」
銀「あ?なんだよ、寂しそうだから銀さんが肩を貸してやってんだぜ?感謝しろよな」
高「誰がするか。それよりA、俺に稽古をつけてくれないか?」
『えっ!?兄様に何かを教えるなんて…』
銀「俺が教えてやってもいいんだぜ?弱杉く〜ん」
高「上等だ。テメェから先にやってやんよォ!!」
そう言って俺たちは道場の真ん中で竹刀を交える
おそらく今回も俺が負けるんだと思うが、また何度でも挑戦してやる!勝つまでなァ!!
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季奈乃 - この作品すごく面白いですね! 更新も頑張ってください! 応援してます!!!!! (2017年9月23日 13時) (レス) id: 937f71cb5a (このIDを非表示/違反報告)
香菜 - とても面白いです!これからも更新を頑張ってください!ほかの作品も作ってください! (2015年11月2日 17時) (レス) id: 39880b9d7b (このIDを非表示/違反報告)
信女(プロフ) - 面白いです!私も人に教えられるようなネタ持ってなくて…、初コメ失礼しました!更新頑張ってください! (2015年9月9日 6時) (レス) id: 58e33b6721 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:十六夜☆ | 作者ホームページ:http://maru1215
作成日時:2015年8月24日 19時