【銀魂】桜の下に舞う天女…6

第三百七十四訓 ページ21

前回のあらすじ…師弟とは
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数十年前…


空は、重苦しい鉛色の曇天…


大地は、草木も生えない寂しげな高野…


そんな空の下にあって、大地の上にあるのは…


たくさんの骸…

たくさんの亡骸…

たくさんの血…


そんな地獄のような場所に残るのは、二つの生命…


死肉をついばむ烏…

惨状を作り出した者…


地獄のような惨状を作り出した者はその手に、血の滴る刃がボロボロの刀を持ち、曇天の空を見上げている…


死人のような…

色も光も映さない…

造られたような無機質な瞳で…


その者を人は…“死を喰うバケモノ”…と、呼ぶのだ



そんなとある場所…
一人の男が近づいていき、その者に手を伸ばす…


ポンッと…その者の頭に男の手が乗った


それに反応して、その者は血のように真っ赤な瞳にその男を映した



「死を喰らうバケモノ…そんな者がいると聞いて来てみてば……君がそう？
またずい分と、カワイイバケモノがいたものですね」



その者は言われなれない言葉に驚きつつ、男の手を払って距離をとった


その者の目は、獲物に狙いを定めた獣の目…



「ここの者達も皆…君が一人で殺ったんですか
少し前に…君と同じように、屍を喰らう鬼を拾いましたが…彼は自分から屍を作る事はしませんでした」



突然昔話を始めた男に、その者は警戒し、刀を構える



「そうやって、自分の身を守ってきたんですか…たいしたもんじゃないですか
だけど、そんな剣…もういりませんよ」



そういった男は、自分の腰に携えた剣に手を添える



「他人(ひと)に怯え、自分を守るためだけに他人(ひと)を殺した…そんな剣も考えも捨ててしまいなさい」



そう言って男は、剣を鞘ごと引き抜き、それをその者に投げ渡した


その者は落ちてきた剣を抱えるが、重さに耐えきれずにふらつき、持っていた剣を落としてようやく落ち着いた



「くれてあげますよ、私の剣」



唖然とするその者をよそに、男は背を向けて歩き始める



「剣(そいつ)の本当の使い方をしりたきゃ、ついてくるといい。これからは剣(そいつ)をふるいなさい
敵を斬るためではない、弱き己を斬るために
己を護るためではない、己の魂を護るために」



そう語る男の背を見つめるその者の目に、先程の警戒心や闘争心は見られない


その者は…桜色の髪を風になびかせ、赤い瞳をまたたかせ、小さな体で男に続いて歩き出す


“死を喰うバケモノ”…名を…春桜A

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