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夕飯を食べ終わっても、思い出話は尽きなかった。
でも、いつ《安田くん》から帰ろうと言われるかソワソワしていた。
できれば、もう少し。
まだ帰りたくない、なんて、彼女が言うならかわいいのかもしれないけど、明日まだ仕事があるし。
この時間がずっと続けばいいのに、とさえ思う。
次に会う約束ができるかを考えていた。
「トイレ行ってくるな?」
《安田くん》が立ち上がった。
ギュッと締め付けられる胸。
きっとそのまま帰ろうってなるんだろう。
恋する気持ち、随分長く忘れていたけど、やっぱり今まで付き合ってきた人と《安田くん》は違う。
特別なんだ。
このチャンス、逃さないように。
「そろそろ行こっか?」
トイレから戻ってきた《安田くん》はやっぱりそう言った。
次の約束を、しよう。
もう、後悔しないように。
「送るよ。」
助手席に乗るのって、緊張する。
うちの前に着いたら、また会えるか聞いてみよう。
そう決めた。
そう決めたのに。
「A?」
私の家までの道中で《安田くん》が私の名前を呼んだ。
「また、会える?」
自分から言おうと思っていたことを、安田くんが言った。
『え?』
それが信じられなくて、聞き返してしまう。
「それとも。」
赤信号で停止すると《安田くん》はこちらを向いて、私を見つめた。
「彼女と別れたばかりなのにって、
軽蔑する?」
そうだ。
別れたばかりなんだからって、《安田くん》とコンタクトを取らずにいたのは私だ。
だけど、それでどれだけ後悔した?
私が好きなのは、きっと生涯、彼しかいない。
『じゃぁ、明日も会いたい。』
今までの私がこんなこと言えたはずがない。
言わせてるのはきっと…
「おんなじ時間、迎えに行くわ。」
結婚適齢期ギリギリの木曜日の夜。
ギリギリの選択は、彼が導いてくれた。
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maruyamaryuh(プロフ) - いえいえ!!待ってます!! (2017年8月1日 23時) (レス) id: b5f2cd076b (このIDを非表示/違反報告)
こまピペ(プロフ) - maruyamaryuhさん» あ!ありがとうございます!!ものすごい放置のこんなものに、コメントくださって…事情がありまして更新がなかなかできずにおりました。少しずつですが、更新したいと思います。本当にありがとうございます。 (2017年8月1日 12時) (レス) id: 779804cc92 (このIDを非表示/違反報告)
maruyamaryuh(プロフ) - 更新期待してます! (2017年7月29日 11時) (レス) id: b5f2cd076b (このIDを非表示/違反報告)
こまピペ(プロフ) - Aliceさん» かしこまりました(*≧艸≦)何回もキュン死してもらえるよう頑張ります!!あ、由来は違いましたか!失礼しました。笑 引き続きお楽しみいただけたら幸いです♪ (2016年7月5日 12時) (レス) id: 779804cc92 (このIDを非表示/違反報告)
Alice(プロフ) - こまピペさん» キュン死させちゃってください!安くんになら何回やられても大丈夫ですから!←名前の由来は不思議の国だけじゃないですけど、もちろん私も好きですよ〜( ´ ▽ ` )ノ (2016年7月5日 11時) (レス) id: 5e23960ad3 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:こまピペ | 作成日時:2016年5月28日 17時