戦場のメリークリスマス（青）

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．


アキの思惑通り、アキは大倉の隣。
そして私はアキに無理矢理引っ張られて〈安田くん〉の横に座った。



今思えば、その布団だった男子、ごめん、と思うのだけど。
それどころではない。



私は〈安田くん〉の匂いが好きだ。
香水ではない。
各々の自宅特有の香り。




今でも脳裏に蘇る。
鼻は脳みそに近いから、印象に残った匂いは記憶に刻まれる。
中学生の私にそんなことは知ったことではなかったけど、
私にとって〈安田くん〉という単語には香りが付いた。



大倉も私の隣にいる。
〈安田くん〉と大倉に挟まれて座っていた。


胸がいっぱいいっぱいの私は、自然と大倉に助けを求めていた。




誰かの視線に気付かずに。





「ちょっとトイレ行ってくるわ。」




〈安田くん〉が立ち上がろうとし、





「これ、やっといてくれる？」





と、トランプのやりかけを私に渡した。





『あ、うん。行ってらっしゃい。』





あぁ。もう全然アカン。
立ち上がったときも〈安田くん〉の匂いがフワッと香って
座っているのにクラクラする。


戻ってきたときにトランプを返すときは、
わざと手に触れてしまおうか。
そんなことしたら、余計にクラクラしてしまうだろうか。




ババ抜きかなんかをやっていて、そんなことを考えていた


そのとき。





「おい、立石こっちに来てる！！」





トイレから戻ってきた〈安田くん〉が叫んだ。

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