第五場 ページ6
ノイマン邸の前
シュタール ああ！ 薄情なのはゴールドシュタインだけではなかった！ 昔はあれほど仲良くしていたのに、こう私が困窮していれば、矢のように冷たい言葉を浴びせて、都合のいい文句を立てて追い払う、なんと心変わりの早いことか。もう数えきれぬほど、断られ、もはや頼れるものはいない。いや、そうだ、もう知り合いを選ぶのはやめよう。どうだ、この家の人に頼んでみないか。
レイチェル ええ！ そんな賭け事みたいなことを
シュタール すまない、私は失敗した。商売にね。命のためのだ。だが結果は、突撃隊に見つかるという大きな借金に終わったわけだ。このままいけば破産だろう。だから、この大きな負けを返すには、突飛な博打しかないんだ。
二人、ノイマン邸の呼び鈴を鳴らす。
ノイマン、傘を持って登場。
シュタール 夜分遅くに申し訳ありません
ノイマン いえいえ、それにしてもひどい濡れよう、(傘を開いて)どうぞ
シュタール ありがとうございます。しかし、あなたの分は？
ノイマン (首筋に手を当て)しまった。……まあ、大丈夫です。ところで何のご用で？
シュタール 実は斯く斯く然然でございます(経緯を話す)どうか一夜の宿をお貸しください。
ノイマン 喜んで。ところであなたのお名前は？
シュタール これは失礼。私はイザーク・シュタール。彼女は妻のレイチェルです。
シュタール夫妻 では、よろしくお願いします。
ノイマン はい、シュタール……(ややあって)さん、ですか。ああ、そういえば私も名乗り忘れていました。ジークムント・ノイマンといいます。どうぞよろしく。では、中へお入りください。まだ越してきたばかりで、少々汚いですが。
シュタール夫妻、一礼して入る。ノイマン、中へ一旦入る。少しの後。また呼び鈴がなる。ノイマン、傘を持って出る。
ツヴァイフェル やあ、ノイマンさん。また会うとは思っていなかったよ。
ノイマン ああ、党の方ですか。一体何のご用でしょうか。(傘を開いて)どうぞ。
ドゥム どうも(受け取る)
ツヴァイフェル 我々、例のシュタールというユダヤの害虫を今追っているのだが、上手くいかない。だから気分転換に少し休ませて欲しいのだ。
ノイマン (冷汗流して)我が家はまだ物が散乱しているので。
ツヴァイフェル なぜ？
ノイマン はい、私は本を収集しておりまして、それが余りに多く仕舞い切れんのです。
ツヴァイフェル では「我が闘争」を持ってきてくれ。余りに多いならあるだろう。
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断章(プロフ) - Sike!さん» ご高覧ありがとうございます。このサイトには戦争物が少なく、需要があるかどうか不安でしたが、そのような感想をいただけて、安心いたしました。重ねて御礼申し上げます。 (2020年3月27日 20時) (
レス) id: e3fb801185 (このIDを非表示/違反報告)
Sike!(プロフ) - コメント失礼します。戦争を題材にした小説は大好きなんです……まさかこのサイトで出会えるとは思ってもみませんでした。登場人物のキャラクターが際立っていて、セリフの苦手な私には羨ましい限りです。お話の続きを楽しみにしております。 (2020年3月27日 6時) (レス) id: b8651e6ca0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：断章 | 作成日時：2020年3月27日 0時
