12.似ても似つかない ページ12
.
『覚悟はいいですか?』
それだけ朝からカトクが届く。
今日であの日からちょうど一週間。
あっという間にこの日を迎えてしまった。
正直、こんなやり方はやっぱり違うと思う。
けどバラされてしまうと困るもの事実で。
あの後マネオンニは「嫌なら無視しな」って言ってくれた。
もしバラされてもこっちでなんとか対処しようって、まで言ってくれて。
ちょっと泣きそうになったし、ホッとした。
そんな優しさもあって、今日私はついに覚悟を決めたのだ。
『決めたよ』
と一言だけカトクを送る。
『じゃあ、仕事が終わったら会いに行きます』
とまたすぐに返信が来た。
ホントになんでこんなに連絡が早いのか、あんなに忙しいくせに不思議でならないんだけど。
今日は新曲のMVの打ち合わせだったから、歌詞を見ながら、大好きな二次元の王子様を交互に見つめていた。
確かに、いつまでも二次元に恋してても限界ってあるよね。
次のステップに移らなきゃいけない、なんてこと自分が一番よく分かってる。
それから時間は嫌なことがある時ほど、過ぎるのが早いと痛感する。
『着きました』
仕事が終わって素直に彼からのカトクを待っていた。
頑張れ、私。
と心の中で小さくファイティンポーズ。
指定された駐車場に向かえば、寒いのに律儀に外で待つ彼の姿があった。
全身真っ黒の服に、黒のバケットハットで一歩間違えたら不審者に見えなくもない。
この前のキラキラスタイルとは程遠いなーなんて。
やっぱり私の大好きな王子様とは似ても似つかないや。
うん、勘違いだなと思ってたら
彼が私に気付いて、私の方へまっすぐ向かって歩いてくるのが見える。
「お疲れ様です」
マスクを少しずらして彼は笑って言った。
「…お疲れ様、です」
恐怖のカトクのイメージとは違って、可愛いらしい笑顔を見せる彼にはやっぱりドキッとさせられる。
こっちです、と彼の車へ案内された。
いよいよだと心臓が少し早くなるのがわかった。
.
1234人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「BTS」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
チャンユ(プロフ) - shoko0619さん» ありがとうございます。続きも駄文になりそうですが更新していきますので、よろしくお願いします。 (2020年12月25日 13時) (レス) id: df90284621 (このIDを非表示/違反報告)
shoko0619(プロフ) - キャー!続き気になります。更新はする予定ですか? (2020年12月24日 20時) (レス) id: 9301928d42 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:uz | 作成日時:2020年12月17日 11時