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「あ、浬おかえり〜！」
早番だった私と違い、遅番だった浬は数時間遅れて帰ってきた。もう随分、流子さんと呑んでいた私は、自分でも自覚できるくらいには酔っていて、リビングに現れた浬を見つけてると、ヘラヘラと笑いながら浬の首に巻きついた。
「おい、酔っ払い。重いから離せ」
「あ、ひっど〜い！ 流子さん聞きました？ 『重い』とか女の子には禁句ですよね〜！」
「そうだ、そうだ！」
「『女の子』って歳でもないだろ」
「は〜！！ それも禁句だ、バカ！！」
酔っ払いながらも姉弟喧嘩が始まりそうな雰囲気を察知した私は、「まあまあ」と流子さんをなだめる側に回ってグラスにお酒を注ぐ。すると、流子さんの態度もコロッと変わり、「あんな奴、ほっといて飲も飲も」とお酒をすすめられる。
「そういえば晃一は？」
部屋着に着替えてきた浬にそう尋ねると、少しムッとした表情で「急患が入って帰れないだと」と言いながら浬が隣に座ってくる。「まあ、あんたも呑みなさいよ」という流子さんにグラスを渡された浬は、仕方なくという感じでちびちびとお酒を呑んでいた。
「ねえ、クリームコロッケ食べる？」
「いる」
「じゃあ、冷凍してたやつ揚げてくるね」
そう言って立ち上がろうとしたとき、頭がくらりと回って、とっさに浬の肩に手をついてしまった。思った以上に近い距離に一瞬ドキリと胸が音を立てたけど、平静を装ってヘラリと笑いかける。すると、浬は横目で私を一瞥して「呑み過ぎだ、バカ」と一言。「ごめん、ごめん」と謝った私は、立ち上がって台所へと向かった。
「ん？ 何？」
油や鍋の用意をしていると、気づけば後ろに浬が立っていた。「酔っ払いに揚げ物なんて、させられるか」と言いながら、私の手元にある菜箸を取ろうとするので、「ダメダメ」とそれを取り返す。
「私が、や・る・の！ 浬は向こうで待っててよ」
「うるさい。俺が監視してやるから、さっさと揚げろ」
「監視って……」と思いながら、油を鍋に注いでいると、ソファの方から流子さんが携帯で誰かと話す声が聞こえてきた。……なるほど。流子さんが電話中だったから、こっちに来たわけか。
「素直に『早くA様のおいしいコロッケが食べたいです』って言えないのかな〜」
クスクス笑いながらそう言うと、「何か言ったか？」と呆れた声が返ってくる。
この微妙な距離感が、今の私には心地よかった。恋人ではないけれど、一番距離が近い異性。それが私と浬を表す関係なのだ。
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moeka(プロフ) - 更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2021年1月1日 8時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
HIKARU(プロフ) - 天堂先生の漢字間違ってます (2020年4月28日 14時) (レス) id: eab8b332b2 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございました。初めての投稿で、きちんと規約を確認せずに作品を作ってしまったことを反省しております。ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした。 (2020年4月23日 18時) (レス) id: d41278724c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：雪菜 | 作成日時：2020年4月17日 16時
