13 ページ13
自宅に戻った私は無事、宅配便にも間に合ったのでシャワーを浴びて部屋着に着替えた。今日は疲れたし、あとは軽く寝酒でもして寝ようかなと思っていたところで、「そういえば……」と届いた段ボールの中を漁る。
「あ、あったあった」
実家の両親から届いた段ボールには、食料品がいろいろと入っていた。中には地元で有名な酒屋さんのおつまみセットも入っていて、それを一つ取り出す。流子さんお気に入りの品なので、お裾分け用に多めに送ってもらったものだ。私は近くにあったカーディガンを羽織ると、おつまみを手に持ってお隣へ届けることにした。
ピンポーンとインターホンを鳴らせば、数秒後にガチャリと扉が開く。
「あれ？ 浬、もう帰ってたの？」
「……何か用か？」
「流子さんお気に入りのおつまみセット届いたから、お裾分けに」
「流子さん、いる？」と奥を覗いたときに、玄関に見慣れない靴があることに気がついた。「もしかして来客中？」と尋ねると、浬は大きなため息をつく。
「そういうことなら、これ流子さんに渡しと「あ、Aちゃん〜！ いらっしゃい〜！」
お邪魔のようなら浬に手渡して帰ろうと思っていたところで、ほろ酔い(？)の流子さんが登場。いつも通りの流子さんに苦笑いをし、「これ、いつものです」と手に持っていた包みを差し出した。すると、「Aちゃんもおいで」と笑顔の流子さんに手を引っ張られる。
「わっ！」
ぐらりと体のバランスが崩れ、倒れそうになった私は横から伸びてきた浬の片腕にグッと支えられる。お風呂上がりなのか浬からは、ほのかにボディーソープの香りが漂っていて少しドキドキした。平静を装って顔をあげ「ごめん」と笑うと、「……気をつけろ」と一言。そんなやり取りをしていると、リビングから「え！！ 神谷先生！！！」と私の名前を呼ぶ声が聞こえてきた。あれ？ その声って……。
「佐倉さん？」
見るとそこにはグラスを片手に持っている佐倉さんがいた。「え？ なんで」と頭の中に浮かんだ疑問を読み取ったのか、頭の上から「……隣に住んでるんだと」という浬の声が聞こえる。
「ななこちゃんも、おつまみくれたの！ Aちゃんも一緒に飲も？」
にこにこと楽しそうに笑う流子さんは、きっと随分お酒を飲んでいるんだろう。この状況にどこか気まずさを感じながらも、私は「いいですよ」と返すことしか出来なかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 121人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
moeka(プロフ) - 更新がなくて寂しいです。更新してくれたら嬉しいです。待ってます。 (2021年1月1日 8時) (
レス) id: d61ed9781e (このIDを非表示/違反報告)
HIKARU(プロフ) - 天堂先生の漢字間違ってます (2020年4月28日 14時) (レス) id: eab8b332b2 (このIDを非表示/違反報告)
雪菜(プロフ) - 、さん» ご指摘ありがとうございました。初めての投稿で、きちんと規約を確認せずに作品を作ってしまったことを反省しております。ご不快な思いをさせてしまい、申し訳ありませんでした。 (2020年4月23日 18時) (レス) id: d41278724c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：雪菜 | 作成日時：2020年4月17日 16時
