文スト学パロ！2【双黒】

理事長 ページ35

私の視界に映った乱歩はいつもの糸目を開いていて、少しだけ見入ってしまった
それと同時に背後から凄い速さで私の前に人が出た

いや…速いんじゃない………動きに、一切の無駄が無いからそう感じるんだ…


灰の髪に和服の其の人は、私に襲い掛かったチンピラを一瞬で投げ飛ばす


「…っ」


福「うちの生徒に何か用か」


「……り、理事長…？」


そう、すぐに分かった…入学式と始業式以来見かけた事は無かったけど
其の人は紛う事なき、文狗学園の理事長…福沢諭吉


乱「福沢さーん遅かったね」


何処か上機嫌の乱歩が犬みたいに理事長の周りをくるくると…


福「大事無いか」


「あ、はい…お陰様で」


まあ自分で何とか、出来なく無かったんだけど…また安吾にグチグチ言われなくて済むから良かった、のか


福「…全く怯えてもいない様だな」


「自分の学校の理事長にこんな事を言うのもなんですが…慣れてますので」


自分で自分を問題児だと発言する日が来るとは…しかも1番偉い人に


福「………一年か」


「はい。江戸川のクラスメイトで、神田Aと言います」


福「神田……お前か、坂口が手を焼いていると言う生徒の1人は」


「恐らく」


乱「早く帰ろ！福沢さん！」


もしかして理事長と住んでるのか…


福「…両親共に仕事で外国でな、私が預かっている。特に隠している謂れは無いが他言無用でお願いしたい」


「別に言いふらしたりしませんよ。私に得がある訳でもありませんし」


福「そうか…表に車がある、乗って行くか？」


「いいえ、ありがとうございます。こんな不良に親切は不要です…助けて頂いてありがとうございました」


福「不良の類であったとしても、学園の生徒である事に変わりは無い」


この人は、とても良い人なんだろう…そして偽っていない大人だ。言葉に心を感じるから


「…では、さようなら。また明日ね、乱歩」


軽く会釈して、私は表へ出た


福「………門で待っていろと言った筈だが」


乱「そうだっけー？」


福「…カツアゲに態と出くわしてまであの生徒を私に見せたい様だったが？」


乱「一度福沢さんに会ってみて欲しかったんだよねぇ…これからあの3人、結構な問題起こすと思うからさ」


福「そうか」


踵を返して表へ向かう福沢の後に付いて乱歩も表へ出る


福「お前が他者に興味を示すのは珍しいな」


乱「まあね！でも、悪い奴じゃないんだ…神田は
居なくなられると僕がつまらないし！」

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