君の消えた世界

白と黒/芥川龍之介 ページ35

…君は何の為に生きるの？


貧民街に居た頃の記憶…仲間達は死に、妹とポートマフィアに入った
生きる意味を与えてくれると約束した彼の人

いつかきっと彼の人に…



向かいからやってくる白い肌に白銀の髪……白鳥と呼ばれる其奴は、今日も黒の組織に情報を運ぶ


「あら、芥川…相変わらず肌青白いね」


「…仕事か」


「えぇ、またね」


白鳥……真名は不明


白…か

ならば僕を表すのは黒……闇を彷徨い、黒い外套を纏い黒獣を操る



僕等は交わる事はない…決して
触れたら最期、きっと白い羽を汚すだろう




然し…望まぬその日は……僕を嘲笑うようにやって来た



敵対組織に追われている白鳥の援護の為、僕等は駆り出された
そして弾丸の雨の中…白鳥は紅い飛沫を上げ、僕の前に倒れた


「…何故、お前が僕を庇った…？お前は唯の情報屋……僕を庇う理由が何処にあった⁉」


声を荒げれば、白鳥は笑みを浮かべる


「……まだ判らないの…？…変装の才能があるね…私」


その直後…白鳥の白銀の髪は、黒に変わる


「…君は何の為に生きるの？」


黒の髪に金の瞳…僕に問いかける其の言葉……覚えがあった


「……A………なのか…？」


「ふふ…やっと逢えたね…龍」


昔の様にAは笑った…黒い髪で


"君は何の為に生きるの？"


"…何だ貴様"


"ふふ無いんだ？じゃあそれが見つかるまで死んじゃ駄目！私達はまだ子供なんだから
私を…仲間に入れて？"


ある日貧民街に現れた僕と同じ位の少女
貧民街で仲間が殺された夜…姿を消した幼馴染……皆の様に死んだものとばかり…
死体が見つからないのは、あの日Aが一人で寝床を出たからだと…


"行ってくるね！"


君は帰って来なかった…


ーーー

続きます

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