春の鶯/中原中也 ページ30
鶯…それは春を告げる鳥
ポートマフィアにも"鶯"と呼ばれる情報屋が居た
鶯色の髪を揺らす…一人の女
「ねぇ広津さん知らん?」
「広津さんなら何時もの所に居るよ」
「ありがと太宰」
柔らかく笑うAは、俺にとって春そのものだった
桜の様に薄く染まる頰は、鶯色の髪によく映える
「中也ー、終わったら飲み行こー」
「嗚呼」
「行ってくるね〜」
ーーー
「もう直ぐ春だねぇ…」
グラスを揺らし、Aはしみじみ言った
「まだ寒いだろ」
「…桜は五分咲きだよ?」
酔いが回った頰は桜と云うより梅の花
「今年の桜も綺麗だろうなぁ…」
「…そうだな」
満開になった頃、此奴は何時も桜並木を散歩したがる…でも矢張り、Aには春が似合った
「ねぇ中也…」
「あ?」
「好き」
「そーかよ」
「ふふ…中也は?」
「好きだよ…幼馴染だろ」
「うん…桜、一緒に見ようね」
「…嗚呼」
.
二日後…Aは川で発見された……情報屋は命を狙われて当然…何時かこうなるかもしれないと
…思わなかった訳ではない
発見されたAの頰は白く…もう春らしさは欠片もない
「鶯は…自分が狙われている事を知っていたみたいだよ」
後ろから太宰が声をかける…俺は水に浸かるAの前に座り込み、抱き上げた
「…冷えなぁ」
その時…ヒラリと俺の目の前を、薄紅の花弁が舞った
「…桜だ」
太宰の声に背後を向けば、其処には満開の枝垂桜が咲いていた
涙が頰を伝った……なぁ、見えるか…?満開だ
以前Aが言っていた…桜には種類ごとに別の花言葉があると
枝垂桜の花言葉は……「ごまかし」
何だ…
「…ピッタリじゃねぇか」
だってそうだろ?…俺達は何時でも、互いと自分の本音を誤魔化してきた
…何が幼馴染だ
君はもういない…ならもう誤魔化すのは辞めようか
白く冷たい頰に手を添えて、色をなくした唇に俺の唇を重ねた……止めどなく流れる涙が、Aの頰へ流れ落ちる
知らないフリをした…俺も彼奴も
その方がきっと幸せだと思ったから
でも残された俺は思う
…伝えて仕舞えば良かったと
あの日お前は"ごまかす"のを止めたのかもしれないと
でももう遅い
_____春が来たって何になろ、あの子が返って来るじゃない
ーーー
アスト様リクでした(^-^)/
大変お待たせしました…こんなで宜しかったでしょうか?
癒えない心/モンゴメリ(男主)→←(作者にとって)一大事です!
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ヒメ* - 梶井くんんんんんんんんんんんん (2017年4月30日 19時) (レス) id: 96291ce8a6 (このIDを非表示/違反報告)
アクエリアス(プロフ) - 黒猫 ??ω??さん» 分かりました! (2016年12月21日 23時) (レス) id: aac96d2a4f (このIDを非表示/違反報告)
黒猫 ??ω??(プロフ) - 賢治君の話がみたいです! (2016年12月21日 15時) (レス) id: a4b4b6f943 (このIDを非表示/違反報告)
アクエリアス(プロフ) - レイ猫さん» 良かったです!リクエスト有難うございました! (2016年12月11日 10時) (レス) id: aac96d2a4f (このIDを非表示/違反報告)
レイ猫 - ふあぁぁぁ!!双黒!!読んだあと泣きました…!ありがとうございます!これからも更新頑張って下さい! (2016年12月11日 10時) (レス) id: 66bc355b76 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:アクエリアス | 作成日時:2016年7月11日 23時