君の消えた世界 (ページ18)

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無口と世話焼き/銀:2 ページ18

「いいの……ちゃんと…判ってる、から…泣かないで」

そう言って、私のマスクを外し、縛っていた髪を解く

「…こんな可愛い親友に看取られるなんて……私は、幸せだなぁ」

こんな時でも気遣ってくれるA…涙が止まらなかった

「銀…無事でいてくれて……ありがと」

Aはゆっくりと目を閉じて、躰の力を抜いた

安らかな眠りにつくA……背後から知った足音を聞きながら、Aの頬を撫でた

「……ゴホッ…ゴホッ………銀」

「…………………兄さん」

兄は息をしないAを見つめ、口を開いた

「…死んでいるのか」

「＿＿＿＿＿＿＿＿私を庇って…」

「…そうか」

何を思ったか、兄は私の腕からAを取り上げ、横抱きに運ぶ

「……兄さん…何を」

「…戻るぞ……世話になった妹の同僚だ。このまま捨て置く訳にもいかぬ」

「⁉」

「銀…何時まで泣いている」

冷たく響く兄の声…だが流れる涙を、私は止められなかった
すると兄は小さく息を吐いた

「…此奴はお前に、泣いてくれと頼んだのか？お前を庇って死んだ自分を哀れんでくれと…お前に頼んだのか？」

"泣かないで"

自然と、涙が引いた…Aが解いた髪とマスクを着け、表に出る
広津さんは動かなくなった部下に目を向け、私を見た…そして

「…そうか」

全てを察したように呟く…そして私の肩に手を置いた……一瞬、異能を使われるのかと思った…が

「…彼女が望んだ事だ。君が気負う事は無い」

その目は優しかった……Aが…望んだ？

「…自分が死ぬ時は、銀の代わりになる時だ…と、以前言っていた
そして…その時は絶対に銀を責めたりはするなと」

「…っ」

「上司に命令する程…君を想っていたのだろう」

何も言葉が出なかった……体が熱くなって……Aに抱き締められてるみたいだった

私の目尻から…また一粒だけ……大粒の涙が伝った

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鏡夜渚烏様、素敵なリクエストありがとうございました*(^o^)/*