歌い手系カフェ店員と声優さん

46杯(津田side) ページ47

MCもいい時間になった頃

バンドメンバーの水分補給が終わったみたいで持ち場についていた


『ではではそろそろいい頃かな？？？』

されを合図にドラムのカウントが入り


恋愛裁判のイントロが流れる

Aは歌い出すと雰囲気が変わる

バックスクリーンに本家のMVが流れる

衣装がこの曲をイメージされて
作られたことがわかった

可愛らしい黒のポンチョで上半身を覆い、
肩のあたりを金のボタンで止めてあり
中の服は見えない

下はポンチョと同じ黒のスカート
レースがついていて女の子らしさが出ている


歌詞に合わせ身振り手振りをする彼女は
表情がコロコロと変わり見ていて楽しい


恋愛裁判を歌いきり一礼をして観客に背を向けた

そして、


1925の独特なイントロが流れると同時に
ポンチョを脱ぎ捨て、観客側に向き直った

ポンチョの下は深緑の軍服のようになっていて、
黒のレーススカートに良く合っている

「すげぇ」

江口くんが感嘆の声を漏らす


彼女は人を惹き付ける魅力がありすぎる

声も表情もだけど、歌に乗せる感情が違う
違うわけではないか、違うのは感情の乗せ方だ


心からこの歌の意味をくみ取ってほしい、
聴いてほしいと言う気持ちが伝わってくる

ついつい聴き入ってしまうのはそのためだろう


次曲の乙女解剖になった

この高音を歌いながら踊るみたいだ

どんなにしんどいんだろうか想像がつかない

彼女は器用に表情まで曲にあわせている


“ねぇ愛して？”のところで
カメラに向かってキレイに流し目をし、
拳を上に突き上げ曲が終わった


どこまでも魅了されていく

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