5話 芯なんてないのだが。 ページ6
__バンッ!
もう一度飛び出してきた弾丸は、間違いなく私の腹筋にめり込んだ。
着ていた制服を貫いていく。
__カン!
何かを弾いたような音が、私の腹の中で鳴った。
『__?』
死を覚悟していたが、思ったより小さな衝撃だったので、恐る恐る自分の腹筋を覗き見る。
『うわぁぁぁぁぁぁぁ!!』
なんということだ。
内ポケットに入れていたスマホの画面の中央に、大きなひびが入っていた。
『どうしてくれんの!?これだけが唯一の私の財産だったのに!!』
そんでもって、先月やっと機種代が完済したところである。ふざけるな。
「そうか……!」
廊下に突っ立っていた三日月が、驚いたように言う。
『いや、何がそうか……!じゃねぇよ!!マジで弁償』
「撃たれる事を分かってたのか……!」
『__は?え?』
「__見事だ。中々芯のあるやつだな。」
『えーっと……、
あー、うん。そうそう。私分かってたから。』
もうこの際、乗っかったほうが身のためだ。
私を撃った青年は静かに銃口を下ろた。さっきほどの殺気は無いらしい。
『あー、てなわけで私、帰りますね。はい。』
冷静になって考えると、おかしいだろ、こんな職場。
廊下は血だらけだし、銃刀法違反者はいるし。
「あ、おい!」
走り出した私を白い人が呼び止めたが、そんなん聞いてる暇はない。
広い庭を走り抜け、柿が生っている木々を追い越し、大きな門を見付ける。
『あれを抜ければ__!!』
門に手をかけ、勢いよく飛び出す。
が。
「待て。」
門を抜け切る前に、グンと、体を引かれる。
振り返ると、そこにいたのは私より身長の小さい少年だった。
藤色のすずしげな眼は、私を通り越して、その先を見ていた。
「よく見ろ。」
少年は黒の手袋を付けた手で、門の先を指した。
『え?
__ッ!?』
少年がさした先を見やると、そこは、何もない空間だった。
真っ黒で、道はおろか、地面さえ見当たらない。まさに暗闇、だった。
『__は?どういう事?』
頭上に広がる空は、青い。遥か彼方まで続いていそうな、そんな青。
「ここは、
__異空間だ。」
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及川パドル(プロフ) - しかし、残り少ない春休みにバシバシ更新していきますので、お付き合いいただけると、嬉しいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: b4e1cbb006 (このIDを非表示/違反報告)
及川パドル(プロフ) - 「最近更新してねぇじゃねぇか!」 と思われた審神者様。 申し訳ございませんでした。 少し旅(旅行)に出かけておりました。 といっても更新してなかった日数と旅行期間の計算が合わないんですよねぇ……。 ナンデダローナー。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: b4e1cbb006 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:及川パドル | 作成日時:2018年10月28日 12時