1話 審神者、ですよ。 ページ2
「あのですねぇ、何度も言ってますよねぇ?」
『そこを何とか!!もうここしかないんですよぉ。』
黒い大きなビルのフロント。場違いな制服姿の、一善A。
さっきから、お願いしているのに、間延びした声の受付のおねぇさんは、全く受け付けてくれない。
「あのですねぇ、まずココ、何のビルか分かってます?」
いらだっているおねぇさんはキレ気味に聞いてきた。うるせぇ、キレてぇのはこっちだ。
『分かってますよ、日本の……お偉いさん、政府がどうたらこうたら。』
おねぇさんは隠すつもりは無さそうな大きなため息をこぼした。
「そう、お偉いさん達が務める場所。その玄関口の、このフロントで、あなた、私になんて言った?」
『え?ビックリするくらい貧乏で、食事もままならなく、アパートからも出されて、
__一攫千金出来るような仕事、ありませんかね。
って言いました。』
正直に答えたまでなのだが、またため息をつかれた。喧嘩売ってんのかな?
「お帰りください!!」
早々にビルを追い出されてしまった。
『マジでどうしよう。今日も雑草食って、公園のベンチで寝るんかなぁ……。』
柄にもなく、泣きそうになる。最近冷たくなってきた風は、ブレザーだけじゃ、防げない。
「あの、仕事、探してます?」
日が沈みかけたころ、スーツ姿の男の人が、話しかけてくる。
『はい、住み込みで、中々に給料がいいところを。』
「ちょうどいいのがありますよ。」と言われ、たどり着いたのは、さっきの黒い見た目の大きなビルだった。
そのまま、玄関口を抜け、広いエレベーターに乗り込む。
大分上がったところで、扉が開いて、何もないホールの様な場所に出る。
『……?』
「もう少しですから。」
そう言ったスーツ男は、ホールを真っすぐ進んで、真正面にあった鉄で囲まれた額の様なものに、手を添えた。
すると、スィン、と静かな音がして、額の中が光りだす。
さっきまで見えていた向こうのホールの壁は見えなくなっている。ゲート、とやらだろうか。
「さぁ、潜ってください。」
スーツ男は、そのゲートを指した。
『え、いや、まず、何の仕事ですか__わ。』
スーツ男に背中を押された。そして、役人は笑って言った。
「__『審神者』、ですよ。」
それを最後に、私の記憶は途絶えた。
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及川パドル(プロフ) - しかし、残り少ない春休みにバシバシ更新していきますので、お付き合いいただけると、嬉しいです。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: b4e1cbb006 (このIDを非表示/違反報告)
及川パドル(プロフ) - 「最近更新してねぇじゃねぇか!」 と思われた審神者様。 申し訳ございませんでした。 少し旅(旅行)に出かけておりました。 といっても更新してなかった日数と旅行期間の計算が合わないんですよねぇ……。 ナンデダローナー。 (2019年4月4日 10時) (レス) id: b4e1cbb006 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:及川パドル | 作成日時:2018年10月28日 12時