・ ページ5
一人で考えていると、肩にトントンとされる感覚が。
振り向けば、まさに今考えていた人物であるフィディオがそこに立っている。
「フィディオ！」
「やあ、お疲れ様。探したよ」
私を探していたという事は、やはり彼もあの約束について何か話す事があるのかもしれない。
「お疲れ様。あの、フィディオ…昨日の約束なんだけど……」
「うん、俺もその件について話しに来たんだ。昨日は俺達が勝ったらって言ったと思うんだけど…引き分けになっちゃったからね」
やっぱり勝ってはいないから約束は無し…になるのかな…？
「俺は勝って君に伝える気満々でいたんだよね。でも、勝てなかった。だから…延期してもいいかな？」
「延期？私は大丈夫だけど…」
その申し出に駄目だなんて言える権利は勿論ないため、私はただ頷く。
「ありがとう。決勝戦…またイナズマジャパンと戦って、オルフェウスが優勝した時。今度こそ伝えるよ」
「…うん。分かった」
それは必ずお互い決勝戦に進むという約束でもあった。
優勝はどちらも譲れない…だから、今回のように必ず果たせられるものではないのは分かっている。
それでもこうして約束をするという事で、彼との絆を繋いでいられるような気がしたんだ。
「…これから彼のところに行くんだね」
「えっ、何で…」
「さっき観客席から話してたろ？見てれば分かるよ」
何だか照れ臭くて目を逸らしてしまう。
すると肩にフィディオの手が置かれたため、彼の顔を見上げた。
「また会いに行くよ。それまで元気でな」
「うん、フィディオこそ」
手を振り合ってその場で別れると、私は観客席へ向かう足を早めた。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月23日 16時
