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試合後、日が沈みかけてきて綺麗な夕日がスタジアムを照らしている。
出発までまだ時間があるため、私はそろそろ一度マークに会っておこうと思い廊下を歩いていた。
「あ、A！」
そこへ私の名前を呼ぶ男の子の声。
振り返ればこちらに駆け寄って来ている一之瀬君の姿が。
「一之瀬君！」
「やっと会えた。控室に行っても居ないから、探したよ」
「ごっごめんね…それより、体調は…」
一番気がかりな事を尋ねれば、彼は何だか申し訳なさそうに頷いた。
「ああ、今は落ち着いたよ。…秋から聞いたんだ。君にも心配を掛けちゃったみたいで…謝りたくて探してたんだ。本当にごめん」
「そんな、謝る事ないよ！私は大丈夫だから、気にしないで」
「A…ありがとう」
一之瀬君の律儀さには相変わらず感心する。
わざわざ私にまでこうして会いに謝罪をしてくれるなんて…
そんな彼だからこそ、今回の件には本当に心配したんだ。
「そういえばマークが君を探してたよ」
「え、本当？」
「うん。観客席の方で待ってるみたいだけど…」
ここでマークを探していた今の私にとって有益でしかない情報が入り、思わず食い気味に彼の顔を見た。
そんな私の反応で察したのか、彼は笑って次の言葉を口にする。
「相変わらず仲が良いみたいで安心したよ。あ、でももし泣かされるような事があったら、いつでも連絡してくれよ？」
「えっ…！？」
「あはは！じゃあ、俺はもう行くよ。早くマークのところに行ってあげて」
そう言ってこの場から移動しようとする一之瀬君。
そんな彼の背中に向かって私は呼び止めた。
「一之瀬君！」
「ん？」
「また…会おうね！」
彼は少しだけ驚いた顔をした後、すぐに笑っていつものポーズで返してくれた。
次に会う時はきっと…本当に元気な姿になってるよね。
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月20日 7時
