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「そっか…ありがとう、二人とも」
「役に立てて良かった。…そろそろ試合が始まる頃だな。もう戻った方がいいんじゃないのか？」
時計を見れば、確かに残り数分にまで迫ってきていた。
私が秋ちゃんの元へ行かなくても、しっかり者の彼女の事だからちゃんと時間までには戻って来るだろう。
…ううん、本当はもっと違う理由で探して……
「…そう、だね。私も戻らなくちゃ」
「探してる彼女はいいのかい？」
「その子なら私が呼びに行かなくても、ちゃんと戻って来るから大丈夫」
「…そうか。どうせなら途中まで一緒に行こう」
マークの言葉に私は迷わず頷いた。
フィールドまでの短い距離を私達は一緒に歩く。
もう外に出てしまえば…今度こそ本当にライバル同士だ。
覚悟はとうに決めたはずなのに、まだどこか複雑で思わずスカートの裾をギュッと握る。
「！あ…」
すると隣を歩くマークの手が、スカートを握る私の手をそっと包み込んだのだ。
彼の顔を見上げれば特にこちらを見る事はなく、ただ前を見つめている。
ダメだな…私ったら。
昨日、最後まで見守るってマークと約束したのに…
どんな結果になっても受け止める。
マークの強い決意を思い出せば、私も自然と心の中にある複雑さが消えていった。
それを伝えたくてその手をキュッと握り返せば、彼の口元がフッと和らいだ気がしたんだ。
そしてフィールドに出てきたところで私達は向き直る。
「お互い、良い試合になるよう全力を尽くそう」
「遠慮なくギンギンに攻めていくぜ〜！」
彼らの言葉にうん、とただ頷いた。
そして背中を向けてそれぞれのチーム側へと戻っていく。
イナズマジャパンである私が相手チームを応援する訳にはいかないのは、とっくに分かりきっている。
だから、どんな結果になっても受け止めると言ってくれたマークの言葉で、私もやっと覚悟が出来た。
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作者名：結川 | 作者ホームページ：https://www.pixiv.net/users/17663132
作成日時：2021年8月20日 7時
