占いツクール
検索窓
今日:1 hit、昨日:0 hit、合計:3,497 hit

ゼラニウム ページ3

「ありがとうございましたー!」

花束を持って私に礼をする客を笑顔で見送る。客の姿が見えなくなってようやく表情を元に戻す。
といっても、死人のような表情なのだが。

「顔死んでるよAちゃん」
「エアコンが欲しいです店長」
「ははは、熱帯の植物とかもあるからそれは無理な話かな」

街中の一角にある小さな花屋。
それくらい小さいかというと、エアコンも設置できないほど小さい花屋。客なんて1日に10人来ればいいほうだ。

「ほら、お客さんだよ」

店長にそう言われ、持っていたうちわを机に放り投げ慌てて店頭へと向かう。くそ、店内も外も気温が変わらないじゃないか。

「何かお探しですか?」
「あ、いえ、特には」

ニコニコとした顔で話しかけるも、どうやらあだ見ていただけらしい。私としては、じゃあ帰れ
言いたいところだ。客(仮)がいる以上、ずっと笑顔でいなければいけないのだから。

「それにしても暑いですね」
「そうですね」

無言でいるのもアレだから話しかけるも、相槌だけで返してきやがった。会話を続ける気はないらしい。
それに着ている衣服は、今朝出会った隣人と同じく警官の制服を着ている。

「パトロールですか?暑いのにお疲れ様です」
「いえ、休憩中です」

警察官にも休憩というものがあることを今知った。
そうか…、同じ人間だから休憩くらいあるのか。
しかし、この警官長袖長ズボンの癖して汗一つかいていない。緑色の髪もふわっふわでここだけ気温が春のようだ。
ふと、さっきから同じ花ばかりを見ていることに気が付いて、声をかける。無言の空間というものは私は嫌いなんだ。

「ゼラニウムお好きなんですか?」
「えぇ、まぁ」
「可愛いですもんねー!丁度今の季節によく出回るお花なんですよ」
「そうなんですか。特にピンク色のゼラニウムはいいですね」
「中々いいセンスしてますね」

というのも、だ。この花確かに可愛いのだが、花言葉がアレなもんであまり売れていないのだ。
だから、この人買ってくれないかなぁ、なんて。

「このピンクの花、ある分全部ください」
「えっあっ、本当ですか!ありがとうございます」

本当に希望通りになるとは思わず、あたふたしてしまった。まさかここまで上手くいくとは。
店長も喜ぶし、これで今月のバイト代も少しは値上げしてくれるだろう。

「無料でブーケにもできますがどうされますか?」
「あ、大丈夫です」
「そうですか」

楽だ。帰れとか思ってごめん。

「ありがとうございましたー!」

情報→←隣人



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.8/10 (25 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
76人がお気に入り
設定キーワード:実況者 , MSSP
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:零紅 | 作成日時:2017年7月16日 0時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。