【M./S/S.P】等価交換のなんでも屋 (ページ2)

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隣人ページ2

ぎゅるる、と自身の腹の虫が鳴く感覚で目が覚めた。眠い目を擦り、半分何も見えていないような目で時計を見ると午前6時。

「はっや…」

いつもなら起きたくても起きられないような時間だ。
優雅な二度寝をキメようとしても、二度目の腹の虫が鳴く音が邪魔をする。
半分苛立ちながら冷蔵庫を開けると、びっくりするくらい何もない。最悪だ、昨日買い物しようとして忘れてしまった。

「ヤバイなぁ…給料日まであと1週間とかどうやって生活すればいいんだよ…」

財布の中身は100円玉が3枚と10円玉が数枚しかない。餓死しろっていうのか。
勿論全て通帳から出してしまった後だ。もう後がない。
お腹も減った。しかしコンビニは物価が異常に高い。こうなったら夕方のスーパーのタイムセールを狙うしかない。

「お腹空いたーーーー！！」

無意味に大声で叫ぶと隣から容赦ない壁ドンが飛んできた。壁薄すぎやしませんかね。
しかし、本格的に腹が減りすぎて夕方には餓死しそうな勢いだ。
…仕方ない。コンビニでコスパのいいものを買ってきてそれで凌ごう。
朝早いし、部屋着でいいか、と外に出ると眩しすぎる日差しが私の目に直撃した。

「あ…」

ガチャリ、と隣の部屋からも人が出てきた。
それもさっき壁を叩き割りそうな勢いで壁ドンしてきたほうからだ。

「朝から大声出さないでもらえますか」
「すみません…」

眼鏡越しに異常に鋭い眼で睨みつけてきた赤髪の男。私からしたらヤのつくヤバイ職業の人にしか見えないが、職業は警察官らしい。
こんな怖いお巡りさんいて堪るか、って感じだけど。

「腹減ってるんですか」
「え、いや、大丈夫です。水あるんで」
「あっそ」

そう言ってさっさと行ってしまった。
ここは食べ物恵んでくれるところじゃないんですか！？
そんなことを心の中で叫んでいると、さっさと歩いていた赤髪の警察官が立ち止まった。

「もしかして、俺がなんか恵んでくれると思った？」
「いえ、そんなことは」
「俺は朝から騒ぐような隣人に食いもん恵んでやれるほど善人じゃないから頑張れよ」

石でも投げてやろうか。
隣人の名前、あろまほっとだっけ。変な名前で名乗りやがって。
ぎゅるる、と今日で何度目かわからない音が鳴った。

「餓死する…」

見上げた空はとても清々しく青かった。