【プロセカ】ストリートで歌っている推しがユニットを組んだ

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だから、自分に興味のない筈の和市が隔離だけして出ていかなかったのが不思議で、早く泣きやもうとした。和市の時間を奪っている気がして申し訳なかったし、ただ自分が泣いているだけという今の状況が気まずくて。
Aが泣き止んで、しゃくり上げる声も落ち着いて来た時に、和市はスマホから顔を上げて「あ、終わった？」と聞いた。うん、と頷いたら和市はスマホをテーブルの上に置いて「Aさ」と話しかける。


「手えあげんのはやめときな？お前が悪くなっちゃうじゃん」
「うん……」
「母さんと父さんが、お前にとってキツイのはわかるけど。まあ今どき呉服屋なんて営業してる古い家の人なわけだからさ、立場とか、固定観念とか、そういうのがあって。……なんていうか多分、あの人達がお前のこと理解することってないと思うから。あんま全部に真剣にならない方がいいと思うな、お互いの為にも。でも親と子供の関係があるじゃん。あの人達は親だから、お前に声をかけるし、お前はあの人達の下で暫くは生きるし」
「そう……、だね」
「難しいと思うけど上手くやんなよ。最短でも10年くらいすりゃ家出れるでしょ、その後の人生は間違いなくお前が好きなようにできるんだからさ……。今は言うこと聞いてればいいんじゃないの？それができないなら、まあ色々期待するのは辞めた方がいいよ。父さんの後継ぐのは俺だし、お前は結構自由にできる立場なんだからさ。だから、えーと……。ごめん何言いたいかわかんなくなってきたわ」
「いや、うん。俺が悪いよね、ごめんね」
「いやまあ。謝ってほしいわけじゃなくてな。……この家にいる間はさ、上手く普通に生きなよ。それができないなら、この家には居づらいと思う。音楽がしたいなら、俺達のことは諦めて。別に俺Aのこと嫌いじゃないけど、俺もお前のことよくわかんないし、なんで上手く出来ないのかなって思ってるし。あの人達から助けようとは思ってないからさ」



和市の本音を聞いたのは、後にも先にもこの時だけだった。和市はAと違って出来がよく、一族で代々営んでいる老舗の呉服屋の跡取りとして両親の言うことをよく聞き、親戚の集まりでも愛想良く消して敵を作らず上手くやっていると傍から見て思う。


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