六等星～進撃の巨人～ (ページ10)

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＃8 五年後ページ10

あれから５年たった。

兵士になるべくして訓練兵団に入団した私たちは、今日、卒業を迎える。

式が外でもうすぐ始まるので、私は外に出ていた。

建物の壁にもたれて、ひとり、風に舞う枯れ葉をぼんやり眺めていた。

あれから…

あんまりエレンたちと話さなくなったな…

ひとりでいることが多くなった。

…なんだろう、

なんだか、怖いんだ。

何を怖がってんだかわかんないけど。

「よう、A」

その時、ちょうど本人が表れた。

『エレン…』

「またひとりでいんのか…あっちにミカサとアルミンいるぞ」

エレンは向こうを指差した。

『…今はいいや』

「…そうか」

エレンはそう言って、私のとなりに並んで壁にもたれた。

今はひとりでいたいんだけどな…

『…どうしたの？』

エレンはしばらく落ち葉が飛ばされていく様子を眺めていたけど、ふっと口を開いた。

「…A、解散式終わった後の食事会の時、久しぶりに、また四人で集まらねぇか…？」

「！……」

エレンは私を見て少し笑った。

…嬉しかった。

誘ってくれて…

…でも、行きたくない。

なんか、みんなに会ったら、弱音を吐きそうだから。

『あ…』

そうか、さっき怖がってたのはこのことか。

「どうした？」

エレンが尋ねた。

『ううん、何でもない…でも、やっぱり、行けない…』

「そっ…か、分かった。食事会楽しめよ」

『うん』

エレンは立ち去って行った。

寂しそうに微笑んで。

『…ありがと.........ごめん』

その背中に向かって、小さく、呟いた。

嬉しかったのにな…何で素直に言えないんだろ。

私は壁から背中を離し、風に流される落ち葉と一緒に解散式の会場まで歩いていった。