＃7 強く ページ9
船の中で、人々は口々に嘆いていた。
「もう…終わりだ」
「神様…」
「ダメだ…みんな巨人に喰われる…！」
「駆逐してやる！！」
人一倍大きな声が聞こえた。
エレン…
エレンが涙を流しながら叫んでいた。
「この世から…一匹残らず！！」
私は人をかき分けてエレンのとこに行った。
みんなに会いたい…
エレンのもとにたどり着くと、アルミンとミカサもいた。
途端に鼻がつーんとして、涙が溢れそうになった。
ダメだ、泣くな…
エレンたちに心配かけちゃいけない。
私はエレンに話しかけた。
『エレン…』
エレンは顔をあげた。
「A…！無事で良かった…」
そう言ってひざに顔をうずめた。
「A、アルミン、ちょっとこっちに来て…」
ミカサがうつむいて言った。
私たちは船首の方へ、人をかき分けて進んだ。
もう、太陽は沈んで、西の空は暗くなりかけていた。
船の端っこまで来て、ミカサは口を開いた。
「…私のおばさん…エレンと私のお母さんが…巨人に、喰わ、れた…」
とたんに私はミカサを抱きしめた。
ミカサは泣いていた。
「…目、の前で、私は、お、母さんを、助けら、れ、なくて…」
『…辛かった、辛かったよね…』
私も泣いていた。
アルミンの目からも大粒の涙が溢れていた。
「アルミンと、Aに、知っておいてもらいたかった…エレンは、今、そのことで傷ついてる…」
ミカサは、目の前で助けられなかった悔しさを乗り越えて、家族を、エレンを守ろうとしてる。
「お母さんは死んでしまった…でも、私は生き延びた」
ミカサは深呼吸した。
「だから私は、家族を守るために生きたい。私には、おじさんと、エレンがいるから…」
ミカサは私の手をゆっくり離して言った。
「ありがとう、A。もう大丈夫」
ミカサは微笑んだ。
強い。
ミカサの心は強かった。
私はまだ泣いていた。
おばさんが死んでしまった。
私の大好きな人が…
辛かった。
苦しかった。
私はミカサみたいに微笑むことなんてできない…
家族を守るために生きたいなんて言えない…
ミカサとアルミンはエレンのとこに戻ったけど、私は船首に残っていた。
まだ涙が止まらなかったから。
『…強く、なりたい…！』
そう呟いた。
もう何も失わなくていいように…！
『巨人を倒せるくらいっ、強く！…なりたい！！』
ラッキーカラー
あずきいろ
進撃☆ラッキーパーソン
リヴァイ兵長
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作者名：ヨット | 作成日時：2016年9月19日 8時
