＃6 地獄で見たもの ページ8
それからの出来事は、全然思い出せない。
壁を越える巨人は、壁を蹴って穴を開けた。
壁の破片が飛び散った。
そして、壁の穴から巨人が入ってきた。
私は今、走っている。
あれからどうなったか、覚えてない。
ただ、向こうに巨人が何体もいる。
夢じゃない…
私は家に向かっていた。
今日はお父さんが家を留守にしてる。
もし巨人が来たら…
対抗できない。
心臓がバクバク波打ってる。
角を曲がって、坂をのぼって、
途中で、何人も亡くなった人を見た。
足がこわばった。
最後の坂を駆け上がった。
この坂をのぼれば、すぐ家だ。
やっとのぼりきり、急いで家の方に駆け出した。
そこで、私は見た。
巨人に食べられている人。
私の、大好きな…
『お母さん！！』
死んでしまった。
私のお母さんが…
さよならも言えなかった。
ううん、さよならなんて言いたくなかった。
お母さん…
私の家族…
…そうだ、レイシー！
守らなきゃ！
その時、私の家の中から誰かが飛び出した。
レイシー！
『レイシー！戻れ！死んじゃう！』
必死に叫んだ。
レイシーは巨人がいないところに避難しようとしたんだ。
とたんにレイシーの体が浮いた。
巨人に掴まれたんだ。
『レイシー！！』
恐怖に満ちたレイシーの目が私を見た。
とっさに私は、そばにあった割れた瓦を拾って駆け出した。
レイシー！
いやだ、レイシーまでいなくなるなんてやだ！
『ぅわぁぁああ！』
私は叫んだ。
巨人の足めがけて、力一杯瓦を突き刺した。
「お姉ちゃ＿＿＿！」
レイシーが叫んだ。
後の方は聞き取れなかった。
巨人の喉が、ゴクン、と鳴った。
涙が、溢れた。
『わぁぁああ！！』
私は瓦をまた突き刺した。
何回も、何回も、何回も。
手が切れて、血が流れた。
私の体が浮いた。
わかってる。
喰われるんだ。
私は巨人の手に、思いっきり瓦を刺した。
どうして奪った
家族も、夢も、わずかな希望さえも…
ズバッ！
その時、巨人が倒れた。
「大丈夫かお前！」
兵士が助けてくれたんだ。
そのまま抱えられて、川に停まってる船のとこまで連れていかれた。
「子どもは先に乗せてやろう！」
誰かがそう言うのが聞こえた。
私は助かった。
助けられた。
まるで神様が私を生かそうとしているみたいに、
私はまんまと、生き延びた。
ラッキーカラー
あずきいろ
進撃☆ラッキーパーソン
リヴァイ兵長
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作者名：ヨット | 作成日時：2016年9月19日 8時
