＃3 壁と海と巨人と ページ5
『私…わからない。壁も知らない…私が住んでるところは崖の上で、木がたくさんあって…』
「壁を…知らねぇのか…？」
３人ともキョトンとした。
「その服…」
ミカサが私の服を見る。
「見たことがない…一体どこから来たの？」
少し泣きそうになった。
私だけ何も知らない…
私はここに…ひとりぼっち。
「別にどっからでもいいよ」
エレンがしゃべった。
「知らねぇならオレたちで教えようぜ！壁のことも、巨人のことも、それに、外の世界のことも！」
巨人？
巨人ってなんだろ？
「あっ！お前の名前きいてなかったな！」
そうだ、名前！
『えっと…えっと、A』
「そうか！Aよろしくな！」
「よろしく」
「よろしくね！」
３人はいろいろなことを教えてくれた。
あの壁は、人喰い巨人からみんなを守るためのものだということ、
壁は１００年くらい前からあること、
そして壁の外には自由な世界が広がっていること。
「壁の外の世界には、大きな塩の湖があるんだよ！」
アルミンの目がキラキラしている。
「『海』っていうんだ！」
私の中で何かが繋がった気がした。
たぶんそれは、この何も知らない世界で、唯一私が知ってるものだからだ。
大好きな、海。
「でもね、この壁の中では海の話は禁止なんだ。海だけじゃない、外の世界のことは…本当は話しちゃいけない」
「ああ、全く訳わかんねぇよ。本も読んじゃいけねぇんだから」
『そんな…じゃあ、海には行けないの…？』
おそるおそるきいてみた。
「いや、行けるぞ！調査兵団に入って巨人をやっつけるんだ！」
エレンは拳を突きだした。
「ちょうさへいだん？」
エレンたちは教えてくれた。
壁の外に出て、巨人と戦う人達。
どんな困難にも立ち向かっていく兵士達の集まり。
それが、調査兵団。
『じゃあ、調査兵団に入れば海に行けるんだ！』
「入りたいか？調査兵団！」
『うん！入りたい！』
調査兵団に入れば海に帰れる。
ボートに乗れるし、貝殻集めもできる。
「エレン、ひとつ問題が…」
ミカサがしゃべった。
「問題？」
「Aはこれからどこに帰るの？家がわからないんじゃ、夜、寒くて凍えてしまう」
ミカサはぶるっと震えてマフラーを口の上まで引っ張りあげた。
「そうだな…母さんに相談してみるか」
エレンは立ち上がった。
「とりあえずオレん家に行こう。母さんにきけば家もわかるかもしれん」
ラッキーカラー
あずきいろ
進撃☆ラッキーパーソン
リヴァイ兵長
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作者名：ヨット | 作成日時：2016年9月19日 8時
