六等星～進撃の巨人～ (ページ3)

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＃1 天体観測ページ3

夏の終わりごろだった。

沈みかけた太陽は空をオレンジに染め、

セミの大合唱が、まだ、風に乗って聴こえてくる。

私は今、『天馬丘』という丘に向かって歩いている。

小学校の理科の先生が企画していた天体観測が、その丘で行われるんだ。

海と同じく星も好き。

だから、少し楽しみ。

「よーし、じゃあ出席取るぞー！」

理科の先生がみんなの名前を呼び始める。

みんなは友達とおしゃべりしたり、ワイワイ騒いでて。

私はひとり誰ともしゃべらずにちぢこまっていた。

先生が出席を取り終わった。

今から夜の８時まで星を観察することになってる。

みんなスケッチブックを手に、思い思いの場所に散らばった。

私はどこに行こう？

そういえば、この近くに大きな川があった、気がする…

河原で星の観察をしようかな。

私は大きな木の茂る森を歩いていった。

森の中にも何人か友達がいた。

そのことが、森の奥に入る抵抗を弱めてくれた。

歩いて５分もしないうちに、きれいな川が見えた。

思ってたほど大きくはなかったけど、月の光を受けて優しく輝いてる。

川の真上には木がなくて、すごくきれいな星たちが、キラキラ瞬いてる。

私は大きなリュックをおろして、中からスケッチブックと筆入れを取り出した。

そして、立ち上がろうとした時だった。

足がガクッと前に滑った。

『わっ！』

左手にはスケッチブック、右手には筆入れ、

手が塞がっていて、私は物につかまることが出来なかった。

真っ逆さまに、

川の中に、

落ちた。