＃11 夢がある ページ13
食堂内が静まりかえった。
誰もが思い出したんだ。
５年前の地獄を。
巨人の脅威を。
親を亡くした人だっている。
友達を失った人もいる。
あの時、みんな思った。
人類は、巨人に勝てない…
「…それで？」
エレンが口を開いた。
皆が顔を上げた。
「勝てないと思うから諦めるのか！」
ジャンが目を見開いた。
「負けはしたが、得た情報は確実に次の希望に繋がる！オレたちは、何十万の犠牲で得た戦術の発達を放棄して、大人しく巨人の餌になるのか！？冗談だろ！！」
エレンは拳を握った。
「オレは、オレには夢がある…巨人を一匹残らず駆逐して、この狭い壁内を出たら、」
アルミンが振り向いた。
「外の世界を、探険するんだ」
外の、世界…
ずっと忘れてた…
…外の世界のこと………海のこと…
そっかエレンは、外の世界に行くために調査兵団に入りたいんだった…
「はっ」
ジャンが笑い飛ばした。
「お前の方がめでたい頭してんじゃねぇか」
「何だと…」
エレンがジャンを睨みつけた。
「誰も賛成なんかしやしねぇ。行きたきゃ一人で行け壁の外に！」
途端にエレンとジャンの拳が飛び交い、二人の頬を同時に殴り付けた。
「エレン！」
「やめろよ！」
「上官が来ちゃう！」
周りの人たちが止めにかかった。
でも二人とも抵抗して、相手に一発くらわせようとしてる。
その時、ミカサが私の肩に手を置いて、『待ってて』と合図した。
そして殴り合おうとしている二人のところに行って、エレンをひょいと担ぎ上げた。
辺りがざわめき、笑いが起こる。
「ちょ…！何だよミカサ！」
エレンがジタバタ騒いだ。
ミカサはお構い無しに、エレンを担いだまま入り口のドアに向かった。
ジャンは「チッ」と舌打ちしてエレンを睨んでいる。
アルミンもエレンとミカサに続いた。
…やっぱりエレンは5位だ、と私は思った。
今のジャンとの喧嘩を見ててそう感じた。
(私も…行く)
私は出入り口に向かった。
なんで私が5位なのか、真相が知りたかった。
そして、もしできるんなら、エレンが調査兵団に行くのを止めたかった。
…エレンが調査兵団に入ったら、私はまた大切な人を失うかもしれない…
ラッキーカラー
あずきいろ
進撃☆ラッキーパーソン
リヴァイ兵長
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作者名：ヨット | 作成日時：2016年9月19日 8時
