訓練兵時代の思い出~進撃の巨人~ (ページ9)

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第９話 Side Armin ページ9

「遅いね、二人とも」

二人が崖を登り終わって30分。

でも全然帰ってくる気配がなくて、僕たちはずっと崖を見上げたままだ。

ミカサが落ち着きなさそうにタメ息をつく。

「アルミン、エレンはどこまで行ったんだと思う？」

ミカサ、その質問はもう4回目だよ？

でも僕も心配だった。

教官も帰ってくるかもしれないし。

「わからない。崖の上がどうなっているのか、見たことがないんだ」

「そう…」

ミカサはまたタメ息をついた。

「…！アルミン、教官室に立体起動装置は残ってる？」

「ま、待ってミカサ！残ってるけど、行ってるうちに教官が来たら…」

「行きはしない。上がどうなっているのか、見て来る」

「ミカサ…」

間もなくミカサは、立体起動装置を身につけ、そのまま崖を登った。

すごい…登りきるのに20秒もかからないなんて…

すぐにミカサは降りてきた。

「上は森になってる。すごく大きな森。立体起動装置が使えるくらいの木が生えている」

「じゃあ、エレンたちは崖を登り終えた後も、さらに勝負を続けた可能性があるってこと…？」

ミカサは頷いた。

「あるもなにも、そうだと思う。でも、さっきアルミンが言ったように、そろそろ教官が来る」

「うん…」

「それに、もうすぐ日が暮れる。もしかしたら、エレンたちが迷子になる可能性もある。いや、もうなってるかもしれない」

そうなんだ。

教官はあと30分足らずで来てしまうだろう。

それはジャンも十分承知だったと思うけど…

それほどまでしてエレンと勝負したかった理由は何だろう…

…いや、今はそれどころじゃない。

何か、教官を食い止める方法、そして、エレンたちを探す方法は…

…

…

…そうだ、この作戦なら…

いやでも、僕たちにも危険が及ぶ可能性が…

…それでも、やらなきゃ何も変わらないじゃないか。

だいぶ危ないけど、やるしかない。