訓練兵時代の思い出~進撃の巨人~ (ページ8)

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第８話ページ8

すっかり夜になっちまった。

森のだいぶ奥深いところに、オレたちは落ちた。

あれからもう１時間くらいたったかな。

夏でも、夜は少し寒かった。

今日は寮に戻れそうにないな。

ジャンが薪を持って帰ってきた。

間もなく辺りはあったかい焔の色に包まれた。

「引き分けだったな」

落ちてから初めて口を開いた。

空には一番星。

「…お前の方が早く落ちただろ」

「はぁ！？だいたい同じだっただろ！」

また沈黙が訪れた。

虫の声がやけに大きかった。

「エレン」

ジャンが口を開いた。

「んー？」

「お前に立体起動装置を渡す前、俺はお前のガス管の中身を半分ずつ抜いた」

「は…」

「別に勝ちたかったからって訳じゃねぇよ。ただ、試したかった」

ジャンはこっちに目を向けた。

「お前が姿勢制御の訓練で、壊れた立体起動装置で姿勢を保ったって知った日から、こいつただもんじゃねぇなって、思った。」

「…」

言葉が見つかんなかった。

「だから、試したかった、お前がどこまで出来んのかってな」

「えっ…と、じゃあ、つまりオレは…」

「お前は俺の半分のガスで俺と同じ距離を飛んだんだ」