第５話 ページ5
目の前に母さんがいる。
｢ダメだからね、調査兵団なんてバカな真似…｣
は！？
バカだって！？
オレには家畜でも平気でいられる人間の方がよっぽどまぬけに見えるね！
そう言った瞬間、母さんが巨人に捕まった。
ハンネスさんがオレとミカサを抱えて逃げる。
やめろぉぉお！
巨人は、
母さんを、
喰った。
目の前が見えなくなった。
苦しかった。
オレはハンネスさんの腕を無理矢理振りほどいた。
ハンネスさんの腕から抜け出したオレは、
母さんを喰った巨人めがけて走った。
ハンネスさんの声を無視して走った。
いつの間にか、手には小さな刃が握られていた。
巨人はもう目の前だった。
３メートル…
２メートル…
１メートル！
オレは巨人の足に斬りかかった。
っ！？
斬りかかった瞬間、巨人も、ハンネスさんも、オレの家も、全部消えて、真っ暗な世界に、オレは落とされた。
底の無い、深い闇がオレをのみこんだ。
っうぅ…
涙が溢れた。
悔しかった。
もう少しで刃は巨人に届いたんだ。
なのに、何も出来ずに、オレは……
戦え！
声が聞こえた。
戦え、と。
…オレが昔ミカサに言った言葉だ。
その言葉が、今度はオレに対してむけられている。
…ミカサか？
いや、違う。
誰が言ったのかはわからんが、
オレは、
今、
確かに
戦え、と
言われたんだ。
戦え
上を見上げる。
ただ真っ暗な世界。
戦え
腰には立体起動装置がついている。
戦え
希望は、無いのかもしれない。
戦え
なら、作れ！
オレはワイヤーを発射した。
足は崖についていた。
そしてそのまま、真っ青な空に向かって走った。
今のは夢か、幻か、または走馬灯か。
ジャンが登った距離からして、ほんの一瞬の出来事だったのは確かだ。
もしかしたら、さっき感じた恐怖は、巨人に勝てない、ってことだったのかもしれない。
あんなでかい巨人なんかに、ちっぽけな人間が、勝てるわけねぇって、心の隅では思ってたのかもしれない。
今見た夢のように。
だが、それは違うんだ。
大切なのは、戦う覚悟だ。
その覚悟がないと、なにも始まらないんだ。
心の中の弱々しい灯が、鈍く輝きだした。
頭はいたい。
足もだるい。
だが、オレは…
オレは……っ！
まっすぐに、まっすぐに駆け抜けた。
そして…
飛び上がった
頂上だ
汗をしたたらせ、高鳴る鼓動にオレは誓った、
母さんの仇をうつ、
自由を手にいれる、
巨人を、
駆逐する！
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えとびん(プロフ) - 続きをお願いします！ (2016年7月22日 22時) (
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作者名：ヨット | 作成日時：2016年7月10日 7時
