訓練兵時代の思い出~進撃の巨人~ (ページ3)

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第３話ページ3

最初にオレを止めたのはミカサだった。

｢エレン、ジャンの挑発になんか乗らなくていい。立体起動術が上手いのは明らかにジャンの方。がけから落ちたら怪我をする｣

アルミンも心配そうな目をオレに向ける。

｢エレン、気持ちはわからなくはないけど…今から成績を落としてたら、本当に調査兵団に入れなくなっちゃうよ…？｣

心配してくれるのは有り難いが…

｢今逃げてたら、いざって時にも逃げちまう。オレは臆病者にはなりたくねぇよ。｣

｢エレン…｣

｢それに｣

オレは歩きざま振り返る。

｢教官が来た後、上手く登れたら成績が上がるかもしれねぇし｣

わざと笑って見せる。

本当はほんの少しだけ、怖かった。

ミカサもアルミンも、もうなにも言わない。

オレは歩き出す。

何で怖がってんだ…。

いや、何を怖がってんだオレは…？

それ自体がよくわからん。

あの調査兵団は巨人とだって戦える……怖いはずなのに。

こんなとこでつまづいててどうする。

オレは崖をにらむ。

恐怖を、押し殺せ。

前進しろ。

全ては、

巨人を駆逐するためだ。

崖の下ではジャンが立体起動装置を持って待っていた。

崖のすぐ横の教官室から取ってきたらしい。

いつの間にかたくさんの訓練兵が集まっている。

ジャンが呼んだのか。

｢おせぇぞエレン！恐怖で動けなくなってたのか!?｣

｢うるせぇ！そっちがオレを呼んだんだろうが！｣

ジャンに立体起動装置を渡された。

20秒で点検する。

…オレはあの姿勢制御の訓練で失敗した日から、気が遠くなるほど練習した。

まだまだ足りんが、あの日よりははるかにましだ。

多分、ミカサもアルミンもその事は分かってる。

準備を整える。

よし、
行くぞ。