あの子の正体【まふまふ】 (ページ3)

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それは突然の出来事だった。

「えっ、Aが……？」

　A、僕の大切な妹。そんなAが職場で倒れたという。いてもたってもいられなくなった僕はAが運ばれたという病院に向かった。

　引きこもり生活のせいで皆無に近い体力を全て使い全力で、全力で、全力で、全力で、全力で走った。タクシーを呼べば良かったことには病院について乱れた息が整う頃に気がついた。

「A、今日は大丈夫？」

　それからの僕の行動は速かった。まず、一人暮らしのAの家を引き払った。次に、僕のマンションの空いている一部屋を掃除し、家具を入れた。さらに、Aの職場に休職する旨を伝え、手続きを済ませた。Aの主治医が『今まで頑張っていた分身体を休ませてあげてください』と言っていたから、僕のもとでAはゆっくり休ませるつもりだ。
　退院したAを連れて帰り、その旨を伝えると最初は抵抗していたAも説得を繰り返したことで何とか納得してくれた。しかし、『何もしないとは落ち着かないから家事はさせて欲しい』と言われてしまった。僕の気持ちとしては少し複雑だったが、主治医と話してそのくらいはとお願いすることにした。それでも僕は心配で毎日のように「大丈夫？」と聞いてしまう。

　もっと僕に甘えてくれてもいいんだよ？