別れる準備をしていても (in×ar)

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気が付けば俺は音楽プレイヤーを放り投げて、


社長の左の頬を右手で殴っていた。


そのまま後ろに倒れた社長の首元のシャツを


掴んで更にもう一発殴る。


血と一緒に白い奥歯が床に転がった。


ブタみたいな下品な声で鳴いてみっともなく


畏怖の声を上げるのも、聞こえない。









「大ちゃんのこと侮辱してんじゃねぇよ！！」









暴れる俺をスタッフが抑え、


俺はまだ冷めない怒りの中で、


離せと叫びながら社長を睨んだ。









───もう限界だった。


もう３ヶ月くらい大ちゃんに触れてない。


挨拶もまともにしてない。


ご飯も一緒に食べてない。


もう、無理だと思った。









「な、な、何をする！」









汚い声で唾を飛ばしながら、


社長が暴行罪だ！警察を呼べ！などと叫ぶのを、


周りのスタッフやモデルは一歩も動かずに見ていた。









(大ちゃん、ごめんね)









俺が仕事をする姿を、


好きって言ってくれたけど。









やっぱり俺、


大ちゃんがいないとモデルの仕事、


全然かっこよくできない。


まったく楽しくないよ…









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