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その日家に帰ると、
朝4時を過ぎたにもかかわらず、
リビングで大ちゃんが起きていた。
隈のできた、眠たそうな瞳でおかえりと言われ、
今日起きた出来事が
走馬灯のように脳内を駆けずり回る。
「あれ…シャツ買った………の」
昼間に着ていたシャツと違うことを
大ちゃんに指摘され、
ドキリと心臓が波打った。
大丈夫、俺は俳優でもあるから、
大ちゃんを心配させちゃダメだ。
それとなく、自然を装って
「あー、昼間にちょっとコーヒー零しちゃって…新しいの買った」
大ちゃんは一言
そう、と言ってシャツを握った。
頭一つ分小さな大ちゃんが、
俯いていてさらに小さく見える。
重い沈黙が時間を停滞させていく。
昔は、この沈黙さえ柔らかなものだったのに。
大ちゃんの俯く頭の上に、
重い黒いスーツの上着をのせて視界から大ちゃんを消した。
「…お風呂、入ってくる」
そう言ってその場から逃げる以外、
方法が思いつかなかった。
あんなに触れたいと思った大ちゃんに
一度も触れることが出来なかった自分の手を、
風呂場の中でぼんやりと眺めてハッと気が付く。
風呂の中にいるのに、
血が砂のように消し飛んでいくようだった。
ない。
「指輪が、ない」
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パクリですよね? - こちら某少年漫画の二次創作のパクリですよね?というか人物変えただけのものですよね?元作家さんに失礼なので即刻削除していただけますか? (8月13日 17時) (レス) id: 02a83ddde5 (このIDを非表示/違反報告)
べーちゃん(プロフ) - とても切なかったです泣 泣きそうになっていました。なんとなく仲直りしてよかったです泣 大ちゃん可愛かったです泣 (2017年10月24日 7時) (レス) id: 0bf64f6267 (このIDを非表示/違反報告)
sakuya(プロフ) - 面白かったです。Twitterフォローさせていただきました。 (2017年8月5日 0時) (レス) id: 9da49e1ebd (このIDを非表示/違反報告)
きなこ(プロフ) - 続編うれしいです!楽しみにしてます頑張ってください! (2017年6月2日 13時) (レス) id: 76d1d51b91 (このIDを非表示/違反報告)
(名前)BLACK CAT(プロフ) - すごいですね。世界観もなにもかもすごいです!読んでいる間、なぜか泣くのではなく胸が締め付けられるというか、とても苦しくなりました。でも読み終わった瞬間に涙が止まらなくなってしまいました。続編楽しみです! (2017年5月11日 0時) (レス) id: ca4e01bbc7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ま つ り。 | 作成日時:2017年1月2日 15時