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初めは驚愕した中身だった。
俺のしたことが書かれていることに、
恥ずかしさすら感じた。
ノートを読んでいたのなら、
俺の告白を知ってるはずだろう。
なのにそれを知らない振りをして、
受け続けてきたのか。
怒りはなかったが、
ただ純粋に不思議だった。
でも、読んでいくうちに、
大ちゃんの想いがひしひしと伝わってくるのを感じて。
どうしようもなく愛しさが増していく。
最初は純粋に俺の告白を喜んでいる文章ばかりだった。
嬉しそうに、幸せそうに。
見ているこっちが
にやけてしまいそうになるくらい浮かれている
大ちゃんの様子が可愛らしかった。
けれど、1ヶ月、2ヶ月、
数ヶ月と日が経っていくにつれて、
だんだんとその元気な様子が失われていった。
静かに、
大ちゃんはこのノートの中で心情を打ち明ける。
俺はその言葉すべてに目が離せなかった。
【 3月8日 雨
伊野ちゃんはまだ俺に告白を続ける。
今日は俺の頬を撫でながら、
『大ちゃんと一緒に生きていきたい』
なんて言われちゃった。
俺、昨日のことも覚えていられないのに、
なんでそんなことができるの、
そんなこと言えるの。
俺が伊野ちゃんを
解放してあげなきゃいけないのに、
なのに俺は結局手放せない。 】
【 4月15日 晴れ
今日は俺の誕生日。
伊野ちゃんは
真っ赤な薔薇を持ってきて告白してくれた。
『大ちゃんのことがずっと好きだよ。そしてこれからも』
だって。
薮に聞いたら99本の薔薇って
『ずっと好き』とか『ずっと一緒にいよう』って
意味があるんだって。もう、大好き。 】
【 5月19日 曇り
やっぱり伊野ちゃんの告白を断れなかった。
朝起きて、ノートを見て半信半疑で、
それで告白されて嬉しくなって絶望して、
きっといつもその繰り返しなんだ。
もうどうすればいいのか分からない。
『一生大ちゃんのことが好きだから』
って言われた。
一生なんてダメなのに。
明日の俺、
今度こそ、伊野ちゃんを解放してあげて。
頼むから。 】
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べーちゃん(プロフ) - 切ない話だったけどとても素敵でした泣 いのちゃんが強いな、すごいなと思いました。そして大ちゃんが可愛かったです。ハッピーエンドって言えるかどうかわからないけど、終わりが好きでした。 (2017年10月17日 7時) (レス) id: 0bf64f6267 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - keiさん» コメントありがとうございます!始まったときから読んでいるとは…ありがとうございます!と同時に更新遅くて申し訳ない気持ちでいっぱいです(;;)そんな中最後まで着いてきて頂き、さらに何回も読んでくださるとは本当に嬉しいです…!次回作も頑張ります(´ヮ`*) (2016年12月20日 21時) (レス) id: 2cfd20ff13 (このIDを非表示/違反報告)
kei(プロフ) - 初めまして。完結おめでとうございます!小説が始まったときからこっそり読ませて頂いてました。本当に素敵なお話で感動して、ホントに完結しちゃったって感じで通知欄に更新がないのが寂しいです…。でもこれからも何回も読ませて頂きます!これからも頑張って下さい! (2016年12月20日 19時) (レス) id: adb857be1d (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - ひまわりさん» コメントありがとうございます。号泣とは…!嬉しいです;_;たまに文章変かな?と思うときがあるのですがちゃんと伝わっているみたいで安心しました(笑)次の作品も今書いている途中なので気長に待って頂けると幸いです(*^-^*) (2016年12月20日 6時) (レス) id: 2cfd20ff13 (このIDを非表示/違反報告)
まつり(プロフ) - 乙音さん» コメントありがとうございます。なかなか更新出来なかったのですが、最後まで読んで頂き本当にありがとうございます;_;次の作品も素敵なものが出来るように頑張ります! (2016年12月20日 6時) (レス) id: 2cfd20ff13 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ま つ り。 | 作成日時:2016年9月6日 19時