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「ちょっとAちゃん、また涙出てるよ。」
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そう言って親指で私の涙を拭ってくれる千賀くんが、なんだかちょっと大人びて見える。
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「浴衣、可愛いね。」
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ああ。
二階堂くんに言って欲しかった言葉を易々と。
千賀くんは私の欲しかった言葉を次から次へと放り出す。
待ち合わせ場所に着いた浴衣姿の私を上から下までチラッと見て、興味なさそうに目を逸らした二階堂くんを思い出した。
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「…ありがと」
小さく返事した私を見て、ニコッと笑った後で
急に千賀くんは真剣な顔に戻った。
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「二階堂とはぐれた？迷子？」
完全にその聞き方は迷子センターに連れ込まれた子供に対するソレ。
「違うってば」
「じゃあなんで1人なの？迷子じゃなかったら何？二階堂はどこにいるの？」
「…」
「こんな怪我して、鼻緒も切れちゃってて。おまけに泣き顔なんてさー…。放っておけるわけないでしょうよ。」
「…」
「こんな可愛い子が泣いてるのに放っておく二階堂も理解不能だね、俺は。」
「…千賀くん、」
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やっぱり涙が溢れちゃう。
優しくされたら涙が出ちゃう。
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嗚咽を繰り返す私を見兼ねた千賀くんの腕が
遠慮がちに私の背中に回ってきた。
ふわっと香る千賀くんの匂いと、背中に感じる力強い腕。
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「Aちゃんにこんなに想われて泣いてもらえる二階堂が、羨ましいけどね俺的には(笑)」
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抱き締められた耳元で千賀くんが呟く。
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あり得ないぐらいのスピードで脈を打ち始めた心臓と超低速でしか回転できない脳。
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しばらくお互い何も言わずにそうしてたら
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「何してんの？」
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蝉の鳴き声がうるさい境内に
二階堂くんの低い声が響いた。
続く
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ニカみー - いつもTwitterでも楽しませて頂いてます。更新楽しみにしてます！続きめっちゃ気になります… (2020年1月2日 19時) (
レス) id: 2fae4f1faf (このIDを非表示/違反報告)
nika(プロフ) - めちゃくちゃ面白いです。ドキドキします。更新楽しみにしてます。 (2019年9月2日 21時) (レス) id: 56b2cdb893 (このIDを非表示/違反報告)
ありぴろ(プロフ) - こつ姉ニヤニヤしたよありがとう(´nωn`) (2019年8月19日 19時) (レス) id: a8ba9e0a35 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コツメ | 作成日時：2019年8月18日 19時
