夏色花火

. ページ2

.


"恋は盲目"

ってよく言うけれど、
私にとって二階堂くんがまさにそれだ。


.


体育の授業でいつもお手本に指名されるぐらい運動神経抜群なところももちろん好きだけど

本当に好きなのはお手本に指名されて怠そうに、でも何でもない風にソツなくこなしている姿。



女子にちょっかい出してる小学生みたいな無邪気なところも好きだけど


本当に好きなのは、ちょっかい出しすぎて女子が泣いちゃった時、急にシュンとしてごめんね、ごめんねって必死に謝るその姿。


.





.


親友には呆れられるし、理解不能！って一蹴されるけど、私にとっては二階堂くんの全てがハートをきゅんきゅん刺激してくる。


.



ボーッと二階堂くんを見てたら、バチっと目が合う。


ドキリとして動けないでいたらすぐに逸らされてしまった。


…こんなに好きだけど、喋ったことはあんまりない。


話しかける勇気が微塵もないし、そもそも二階堂くんの傍にはいつも千賀くんがいるから余計に緊張する。


.


そんな私が、二階堂くんとお祭り…？


「いやムリムリ！」


「何言ってんの！こんなチャンスないよ？」


「でも…あんまり喋ったことないし。そもそも私も行くって二階堂くんは知ってるの？」


「千ちゃんが伝えてくれたみたいだよ」


「そうなんだ…」


.


私が二階堂くんを好きになったのは、高校一年生の時。



私の前の席だった二階堂くんは毎回授業中寝てて、自分が先生に当てられるたびに私の方を振り返って

「今どこやってんの？」

と聞いてくる。


最初は、寝るだけ寝て勝手な奴め！と思っていたけど、授業が終わると必ず私の方に向き直って、Aちゃんありがと。って言ってくれちゃうから。


二階堂くんの掠れたハスキーな声で"Aちゃん"なんて呼ばれて、毎回安易に胸がときめいてたし、私の名前知ってくれてる！って軽率に恋し始めてしまった。


.

.→←.

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す